芸術とスポーツ
学生は勉強熱心です。授業はサボりません。受講態度は積極的です。
しかし彼らはその合間を縫って、文化活動・スポーツ活動を熱心に行い、各種催し物にも積極的に参加します。
ここで少しぼくの滞在中に催された芸術とスポーツに触れてみます。
昨年(1969年)11月にNHK交響楽団のコンサートがキャンパスのホールであり、満員の観衆をうならせました。指揮は岩城宏之さん、ピアノは中村紘子さんでした。
これは学生が主催する芸術シリーズの一環として行われたものです。ピッツバーグ交響楽団やピアニストのヴァン・クライバーンもやって来ました。
ロックでは、アーロ・ガスリー、アイアン・バタフライ、シカゴ、フィフス・ディメンションなどがやって来ました。さすがにシカゴはものすごい人気です。
この「ど田舎」にこれだけの人気グループを呼べるのだから、たいしたものですよ。ほんとに!
スポーツでは、秋から冬にかけての大学フットボールが圧巻です。しかもペンステートは2年間続けてまだ負けなし。しかるに全米の順位では、昨シーズンがオハイオステートに次いで2位。今シーズンもテキサスに次いで2位。
いずれのシーズンも1位と対戦させてもらえずに2位ですから、学生が頭に来るのも当然です。キャンパスでも、バーでも、どこでも、「We
are No. 1」が合言葉です。
ぼくが観戦した対メリーランド大学の日は雪が積もって、氷点下。
観覧席は氷が5センチほどの厚さで張っており、雪混じりの寒風がビュンビュン。男も女もみんなウイスキーで身体を温めながら激しく応援しました。
スコアですか?もちろん勝ちゲーム。40対0、強いでしょう!
それにしてもこの寒風の中、猛烈に魅力的な肉体を惜しげも無く露出して、ひたすらチームの応援に励むチアガール諸姉。双眼鏡でまじまじと最敬礼でした!
試合直前のセレモニー |
雪の中、熱狂で暑い! |
つねに女性は元気です |
フットボール以外でも、野球やバスケットボール、アイスホッケーが盛んですが、ペンステートはあまり強くないのです。
ともだち
もうすぐ帰らなければならないとなると、友達ともお別れです。折角の素晴らしい友。寂しい限りです。
彼らの多くは、ぼくの勉学を妨げ、余分なスラングばかりを教え、嫌がるアルコールを無理やり勧め、面白くもないXXXX映画につれて行きました。
彼らはいつのまにかぼくを外国人ではなく、友達として付き合ってくれました。ぼくの英語は自慢できるものではないにもかかわらず、日本人であることを忘れさせもしました。
ここで友達の何人かを紹介して、留学生便りを閉じることにします。
ひげのマーク
自他ともに許すぼくの親友です。ギリシャ系のアメリカ人。一にアルコール、二に女性、三に雑談、四に勉強。
それでも、
「もうすぐボクを地質科学のドクターと呼ばざるを得ないんだよ」
と、とぼけて威張っています。
故郷のボルチモアへ帰るたびに、ギリシャのワインを抱えてきて、「では一杯」ということになります。
ぼくが酒やバー通いをいかに拒んでも、無理やり連れ出すのが彼です。
バー通いでは、いつも一緒になるのが助教授のスパードクさん、エジプトのサフィーくん、パキスタンのサイードくん……。
レディーキラーのニック
一見礼儀正しくて、いつもモテモテ。
ぼくに「女性にもてるためには」をひとくさりやった後、その後ずっと日課の早朝ランニングにつき合わせています。「アイスクリームおごるから」を餌に。
"Hustler"を読んではぼくのところへ持ってくるのもニック君です。
ロック狂のダグ
ローリング・ストーンズの話になると、彼は黙っていない。ザ・フー、ドアーズ、・・・、ハードロックをぼくに仕込んだのはダグくんです。
部屋には400ドルもするステレオを備えて、毎晩レコードコンサート。
そういえば、彼がベランダで怪しげな植物を栽培していたこともあったけど、……。
サインはV、合言葉はピースの大男熊のボブくん、X映画の好きな哲学者ドンくん、なにかにつけてビューティフル連発のジョン君、・・・・。
ともだちのスナップはここをクリック。
これだけの友達との交流は、どうやらかなりの財産になりそうです。それよりも何よりも、ぼくの1年間をなんと楽しくしてくれたことか。感謝で一杯です。
それではもうすぐ皆さんにお会いできることを楽しみに・・・。
朗読: 8' 06"
朗読(1970.04)合計 26分27秒
「Penn State 便り」 朗読総計 51分44秒
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