| 焼き魚団扇を読んで叱られる |
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| 役人の子はにぎにぎをよく覚え |
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| 夜具の客まず呉服屋でもてる也 |
吉原では、自宅の夜具と比較にならぬほど豪華なものを使い、しかも馴染み客が遊女に贈る習慣だったから、客の負担は大きかった。豪華な買い物だから、まず、呉服屋でもてもて。 |
| 夜具無心うんとのっけに反りかえり |
遊女の濃厚なサービス |
| 厄除けへ行く振り袖は売れ残り |
川崎大師へ厄除けに行く娘は19才だが、西鶴の「好色一代女」に、娘盛りを「15より18迄」とあるから、売れ残りといえよう。 |
| 薮医者の入った家に殺気立ち |
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| 薮入りが帰ると母は馬鹿のよう |
薮入りで来た子が帰った後は虚脱状態 |
| 薮入りのうち母親は盆で食い |
薮入りで子供が帰ると、自分の膳は子供に使わせ、母親自身は、盆で食べていた。 |
| 薮入りの母へみやげは髪の出来 |
薮入りで帰った娘の美しく結った髪。奉公しているうちに成人した姿は、なによりのみやげだった。 |
| 病み上がり女房ひやひやものでさせ |
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| 病み上がり母を使うが癖になり |
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| 病み上がり遊びに出るも恩にかけ |
体力回復の証(あかし)だと、遊びに出かけるのも恩着せがましい |
| 病む親を見捨て四ツ手へ乗るも孝 |
病気見舞いのような顔で女衒(遊女に身売りの周旋業者)が来ると、親の医療費のために、娘は篭で吉原へ。 |
| 病む身より病まぬ女房の面やつれ |
心身ともに疲れはてた看病やつれ |
| ややしばし四方を見ている転んだ子 |
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| 夕涼み又あつくなる宗旨論 |
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| 雪の日に狂うは犬とふぐ相場 |
河豚は、「白妙(しろたえ)の雪に高値の河豚も売れ・柳87」という句の通りに、河豚汁用に、高くても飛ぶように売れる。 |
| 雪見にはこたつにあきたやつばかり |
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| 雪見には馬鹿の気のつく所まで |
芭蕉の「夏草やつわものどもが夢の跡」を踏まえた。 「この雪に馬鹿者どもの足の跡」(柳79)という句もある。 |
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| よい男貧乏神の氏子なり |
色男金と力はなかりけり |
| よい女どこぞか女房きずをつけ |
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| よく歩く子にくたびれる親の口 |
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| よさは能(よ)いがとは女のそねみなり |
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| よしねへと前を合わせるおちゃっぴい |
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| 吉原さなどと母にはつよくでる |
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| 吉原のつぶれた夢を母は見る |
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| 吉原へ男の知恵を捨てに行き |
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| 四日目は明智日陰の守になり |
光秀は、信長を倒してから、わずか13日で豊臣秀吉に倒されたので、短期間しか権力や地位を保てぬ例えの「三日天下」という言葉ができたし、日向守光秀が、忽ち日陰守になったのだった。 |