長意見小便暇をもらって出 |
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仲の町意見もしたりすすめたり |
仲の町は、大門を入った中央通りで、突き当たりの水道尻には、火の見櫓と秋葉山常燈明があり、通りの左右に引き手茶屋があった。この句は、茶屋女房の接客法 |
長屋中検死がすむと井戸を替へ |
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泣きながら眼(まなこ)を配る形見分け |
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泣き泣きもうかとはくれぬ形見分け |
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泣き泣きもよい方をとるかたみわけ |
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なぐさみに女房の意見聞いて居る |
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泣くよりもあはれ捨て子のわらひ顔 |
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仲人の夫婦わらひが上手なり |
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なにごとぞ花見る人の長刀 |
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生酔いの幽霊千鳥腰で出る |
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生酔い本性違わず釣りを取り |
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生酔いをさして薮蚊の行き倒れ |
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なりったけ嫁小便を細くする |
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逃げ疵の療治に医者の口を縫い |
武士が背後から受けた疵は、家の浮沈にかかわるので、外科医の門をひそかにたたき、医者には<口止め料>を出さねばならない、 |
逃げしなにおぼえていろは負けたやつ |
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逃げのびた腰元前をよく合はせ |
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二、三丁出てから夫婦づれになり |
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女房と亭主の間に男あり |
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女房にちとつつがある旅の留守 |
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女房に土手で逢ったは百年目 |
吉原行きの土手八丁で逢っては言い訳無効 |
女房にひげを抜き抜き叱られる |
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女房の聞くように読む偽手紙 |
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女房の夜泣きで亭主目がくぼみ |
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女房の日照り亭主の水がきれ |
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女房の知恵は花見に子を付ける |
向島の花見帰りに、吉原の夜桜にまで足を延ばさせない目付け役としては、坊やが最適 |
女房の思ったほどはもてぬ也 |
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女房は髪結い亭主油売り |
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女房は風雅の友を悪く言ひ |
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女房はすっぽん女郎はお月さま |
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女房は土手の辺りで髪が解け |
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女房を恐ろしがってただ帰り |
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女房を恐がるやつは金ができ |
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女房を大事に思うもてぬ奴 |
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女房を大切にする見苦しさ |
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女房をなぜ怖がると土手で言ひ |
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人参が出来て看病ひとり減り |
病む親の医療費故に娘の身売り |
人参もなに及ぶべき鼻薬 |
朝鮮人参よりも、はるかに効能があるのは鼻薬(賄賂) |
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糠味噌へ思ひ切る手の美しさ |
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抜きどこが悪いさかいと公家衆いひ |
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ぬれている炬燵十能で水をさし |
ぬれているは、男女の情事が行われている意味だが、恋人同士が入っている炬燵に十能で火を運んでくると、ラブシーンも中断。濡れ場に火が水をさすという表現の技巧 |
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寝かす子をあやして亭主叱られる |
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猫かはい虎か左様と下手(へた)絵描き |
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猫舌と長雪隠は旅のきず |
東海道を、宮まで海を越える渡し舟に乗る前、桑名名物焼き蛤を食べ始めたとたんに「舟が出るよ」の声。熱い物の苦手な猫舌は四苦八苦だし、用便の長い者もウンの尽き。 |
猫舌は舟が出ますに大困り |
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猫でない証拠に竹を書いて置き |
竹に虎 |
猫なでの姑(しゅうと)ときどき眼がかわり |
猫なで声で嫁に優しい姑も、時折の鋭い眼付きを見ると、完全に打ち解けてはいない。 |
寝た形(なり)でいるはきれいな悋気(りんき)なり |
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寝ていても団扇のうごく親心 |
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寝てとけば帯ほど長いものはなし |
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寝所へ乳をもらして客が切れ |
色気が売り物の稼業だけに、子供を生んだとわかれば、客足が遠のくのも当然だった。 |
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野雪隠地蔵しばらく刀番 |
供を連れない武士の用便ともなれば、刀は、道端の地蔵様にお願いする以外に手はない。 |
のたくったみみずを餌に客を釣り |
のたくったみみずのような字の文を餌に客を釣り上げるから恐ろしい。 |
のぼっても峠を知らぬ欲の道 |
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飲まぬ奴弁当食うと花に飽き |
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