| 流行唄覚える頃にもう廃り |
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| 料理人客になる日は口が過ぎ |
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| 留守だからしなとはひょんな寝言なり |
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| 若後家は支度金にて行ったやつ |
熱望、渇望した美しき妻故に、「女房の機嫌とりとり弱るなり」という句の通り |
| 我が好かぬ男の文は母に見せ |
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| 若旦那足袋が嫌いで嫁がもめ |
吉原の遊女は、足袋を履かず、素足の美しさをいきとした。若旦那が、足袋を履く素人女を嫌い、吉原通いを続けるので、嫁とのもめごとが絶えなかった。 |
| わっちをも請け出してよと禿(かぶろ)泣き |
身請けされて本名に戻った遊女は羨望の的だったが、とくに幼い禿の嘆きは大きかった。 |
| わっわっと泣いて形見を持って行き |
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| 笑うたび嫁手の甲を口へ当て |
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