抱いた子にたたかせてみる惚れた人 |
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大仏のへのこの寸は書いてなし |
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代脈が来たで今坂引っこませ |
信用できない代脈の往診なので、先生のお茶菓子として用意した今坂(あんを包んだ卵形の餅)は、さっさと引っこめてしまった。 |
大名も切り売りを買う塩鯨 |
大名屋敷でも、鯨一頭など買えるはずもないから、切り身を購入した。 |
大門を振り袖で出る果報者 |
振り袖の年齢のうちに身請けされる好運 |
誰(た)が花か格子にちらり桜草 |
妓楼の格子の中に桜草の鉢が、ちらりと見えるが。 |
蛸壺で尻(けつ)の毛までも吸い取られ |
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立ちそうにしてまた話す女客 |
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旅の留守別状たった一つあり |
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旅の留守うちへも胡麻の蝿がつき |
旅行中の亭主には、懐中(ふところ)を狙う盗人の胡麻の蝿がつきまとっているが、留守宅の女房にも変な虫がついている。 |
旅の留守亭主のような者がいる |
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旅の留守おじさんちゃんのように寝る |
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魂をせっぱつまって質に置き |
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たはけめといってはひげを一本ぬき |
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たれながらそこへ寄りなと顎でいひ |
路地で尻をまくって、小便しながら・・・ |
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父親に似ぬを知ったは母ばかり |
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乳飲み子の力で留める離縁状 |
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茶をくれと言えばおれもが五、六人 |
多人数の席で、一人が「お茶をくれ」と言えば、たちまち、「おれも」が五、六人 |
中条の巧者は一人ずつ殺し |
女医者とは、婦人科医の事だが、その仕事の多くは、堕胎だった。婦人科医(堕胎医)のことを中条流ともいった。 |
中条はむごったらしい蔵を立て |
中条=堕胎医者 |
調合をしてもめったに持って出ず |
薬の調合ができても渡さずに待たせるのも、薬取りが多いことを誇示するための策戦 |
丁度よく悔やみに行く目ゴミが入り |
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重宝な癪を傾城持っている |
癪は、腹や胸に発作的におこる激痛の総称だが、遊女は、好意を持てぬ客の場合、癪を理由にして同衾を拒否した。 |
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つきあひをごぞんじないと母にいひ |
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付き馬で取るは夕べの駄賃なり |
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突き出しがたこでお職の上へのし |
突き出し(遊女として、始めて客を取るもの)が、たこであるために、お職(その見世の最高の遊女)を追い抜く売れっ妓になってしまった。 |
つくづくとおえたのを見るひとり者 |
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突く日には湯島沸くほど人が出る |
ここの富くじは、江戸三大富の一つとして有名で、富の当日には、群衆が殺到した。 |
つらいこと眼も歯もよくていまひとつ |
老年になると、眼、歯、性と衰えるが、眼も歯も健全なのに、今一つが使いものにならぬとはつらいこと。 |
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亭主留守いつも間のよい男なり |
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亭主をば尻に他人は腹へ乗せ |
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手がさわり足がさわって仲直り |
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手をしたへ伸ばして猫は大あくび |
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手を出した方が負けだと下馬で言ひ |
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手を突いて居れど蛙は頭を下げず |
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手を付けるときも手を切るときも金 |
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田楽で帰るが本の信者なり |
味噌田楽は、真崎(まつさき)稲荷(現荒川区南千住3丁目)境内の茶店が有名で、ここが橋場の墨田川岸なので、近くの吉原へ行く客も多かった。
そこで、田楽を食べただけで吉原へ廻らずに帰宅する者が、本当の参詣者だった。 |
田楽で飲むうち飛んだ知恵が出る |
吉原行きの相談が決まれば、ぐずぐずと田楽を食べている者を急がせることになった。 |
田楽で崩す小判はあてがあり |
吉原で、あれこれと使いやすいように小判を崩すと準備完了となった。 |
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土手を行く医者は上野か浅草か |
「花の雲鐘は上野か浅草か (芭蕉)」のパロディー |
とどめをば余人に渡すさじ加減 |
余命幾ばくもなしと見て、「ほかの医者にお見せ下され」と責任逃れするのも医者のさじ加減 |
弔いに勇むは所化(しょけ)とどら息子 |
葬式で張り切るのは、所化(僧の弟子)と、精進落としの吉原行きに期待する道楽息子 |
弔いに泊まってきたのは落ち度なり |
葬式の日に通夜のあるはずがない |
弔いに行方知れずが2、3人 |
精進落としに熱中しすぎたようで・・・ |
弔いを見ると尾を振る寺の犬 |
商売繁盛(?)は、寺の飼い犬も大歓迎 |
留吉は一人息子の名ではなし |
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