垣間みは尻をつめって代わりあい |
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顔同じからず済す時借りるとき |
「借りるときの恵比寿(地蔵)顔、返すときの閻魔顔」 |
顔に火を燃やして娘にえきれず |
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顔見世に顔を見せぬは馬の足 |
顔見世は、翌年の専属俳優披露のための11月興行。この際、馬は仕立ておろしの新品だが、馬の脚になる二人は、顔見せはできない。 |
掛人(かかりゅうど)ちひさな声で子を叱り |
掛人=居候 |
駕籠賃をやって女房はつんとする |
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傘かりに沙汰のかぎりの人が来る |
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がたがたとふるえながらも嬉しがり |
清純な娘にも青春の花開く時節が訪れて・・・ |
形見分け初めて嫁の欲が知れ |
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形見分けもらう気で下女やたら泣き |
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鹿の子餅釈迦の頭の後ろ向き |
「鹿の子餅」は、餅の上に、小豆が鹿の子斑(まだら)に、ぼつぼつと付いていたことによるが、それはまた、釈迦の頭を後ろ向きにして、つぶつぶの毛が見えるが如くであった。 |
雷をまねて腹がけやっとさせ |
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神代にもだます工面は酒が入り |
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元日のそそう二日に叱られる |
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勘当のうち江戸中の湯に入り |
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勘当を許して口が二つ増え |
息子と一緒に女まで養う羽目に・・・。 |
勘当を許すと菜を食ひたがり |
菜=食事のおかず。許してやるとすぐにつけあがる。 |
勘当をよぶで弔ひ三日延び |
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気があれば目も口ほどに物を言い |
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後朝(きぬぎぬ)の梯子は恋の下り坂 |
後朝とは、男女が同衾して別れる際に、各自の着物を着て帰る意味だが、遊里では、客と遊女の朝の別れを意味した。 |
生息子の証拠弔いいやと言い |
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生娘のだんだんのびて花が咲き |
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清盛の医者は裸で脈をとり |
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吉良びやかなるお寝間着が炭だらけ |
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金箔のつかぬは木地のいい娘 |
持参金無しの嫁は、このうえない美女 |
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口がるく尻のおもたい居候 |
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口で飯食うは咄家講釈師 |
江戸時代は、落語を、「はなし」「おとしばなし」といい、文化年間(1804−17)に職業化した落語家は、咄家と称した。 |
ぐち噺おくって出ても小半時 |
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口紅が時々殿の耳に付き |
お妾の告げ口が時々・・・ |
くどかれてあたりを見るは承知なり |
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くどかれて娘は猫にものを言ひ |
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くどく奴あたり見い見いそばに寄り |
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首くくり富の札などもっている |
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悔やみ言いながらせたげる木薬屋 |
「せたげる」は支払いの催促をする事 |
黒犬を提灯にする雪の道 |
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黒塀で囲う日陰の桜草 |
黒塀で囲われているのは、何れも日陰の身の囲い者(妾)と桜草だった |
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傾城に嘘をつくなと無理を言い |
「傾城に誠あれば、晦日に月が出る」というように、客の気を引く嘘が看板の遊女に対し、嘘をつくなとは、無理難題というもの。 |
傾城の癪人を見ておこる也 |
癪は、腹や胸に発作的におこる激痛の総称だが、遊女は、好意を持てぬ客の場合、癪を理由にして同衾を拒否した。 |
傾城の涙で蔵の屋根が漏り |
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傾城はそらごと女房小言也 |
華麗な嘘に酔って帰れば、糠味噌臭い小言 |
傾城を買ふと男が生きてくる |
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閨中へ入って妾は蛸となる |
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毛が少し見えたで雲を踏み外し |
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けころ客卒塔婆を読んで叱られる |
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遣唐使吹き出しそうな勅を受け |
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恋の橋渡すは闇の涼み台 |
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恋の花今日咲きそめる恥ずかしさ |
初潮を見た娘の美しき恥じらい |
恋い無常中の仕切りに土手一つ |
吉原と日本堤を隔てた山谷には寺が多かったから、恋と無常の仕切りは土手一つに違いない。 |
口上を忘れて戻る茗荷谷 |
多く食べると物忘れをするという俗説があるが、それは、釈迦の弟子で、自分の名も忘れたというはん特(どく)の墓所に生えたことに由来する。 |
弘法も一度は筆で恥をかき |
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五右衛門は生煮えのとき一首詠み |
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御加増を取るやついつも御もっとも |
主君に相づちを打つたびに、御加増(昇給)、また昇給 |
子が一人出来てそれなりけりになり |
親の反対を押し切っての結婚で勘当されたが、子どもが出来て許される |
極楽へ花をふらせて火の車 |
吉原での散財が貧窮の因との意味だが、極楽に対して、生前、悪行を働いた亡者を乗せて地獄へ運ぶ火の車を配した技巧。 |
御自分も拙者も逃げた人数なり |
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腰元は寝にゆく前に茶を運び |
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小姑が嫁目の下のこぶになり |
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小姑も見様見真似にいびるなり |
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小姑も芝居願いはぐるになり |
芝居見物を希望するときだけは、嫁も小姑も協力しあう!? |
子だくさん州の字なりに寝る夫婦 |
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炬燵の手明るい方は猫を撫で |
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子の寝冷え翌日夫婦喧嘩なり |
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小判は口のふたにするかたち也 |
他言無用の妙薬は小判 |
懲りもせず礼から息子直(すぐ)にゆき |
2日の年始廻りの帰路、今年もまた吉原通いが始まる |
これじじい若い者とは其方(そのほう)か |
遊女屋の使用人の男衆を「若い者」と称したが、喜助、妓夫などの別名もあった。業務は見世番、二階番、不寝番(ねずのばん)、さがり取り(未払い遊興費取り立て)などだった。 |
転んだを安産ののち話すなり |
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こはい顔したとてかかが女房なり |
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婚礼を笑って延ばす使者を立て |
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