高台寺、その他の写真
ここで寄り道。
小堀遠州。これまで訪れた有名庭園でしばしば耳にした人物だ。そしてここ高台寺でも。
「鶴亀の庭」といい、西に偃月池と東に臥龍池が開山堂を挟む池泉回遊式庭園という。
他にも一昨日に行った二条城の二の丸御殿庭園「八陣の庭」とか、3月に訪れた南禅寺の「虎の子渡しの庭」。注意しなかったが、さっき隣りの圓徳院で見た「北庭」もそうだった。
インターネットで検索すれば、全国要所要所の名勝・庭園にその名が現れる。
しかし造園家だけでもなさそうだ。「コトバンク」のよれば、こうあった。
江戸前期の茶人・武将。遠州流茶道の祖。近江生。名は政一、号は狐蓬庵・宋甫、遠州は通称。
茶道を古田織部に学ぶ。作事奉行として建築・造園に才を発揮し、二条城・仙洞御所などを手掛けた。また書画・和歌を能くし、画は松花堂昭乗に学ぶ。
書画・古器の鑑定家としても有名。のちに伏見奉行となる。正保4年(1647)歿、69歳。
辞世の歌。 |
昨日といひ今日とくらしてなすことも
なき身の夢のさむるあけぼの |
…………
横道に逸れついでに、もう一つ。
はかどらない作業を横で鳴っているNHK-FMのジャズのせいにしたくなる。スイッチを切ったら暗闇に陥ったようで、さらにはかどらない。久しぶりにクラシックをBGMにしてみるか。
賑やかなのもなんだしと、LPをあさって、バッハのチェロ組曲を選んだ。「無伴奏チェロ組曲全集」(Archiv Production)3枚組で、ピエール・フルニエが独奏している。
多分40年ほど前、大同特殊鋼の東京支社で鋳鋼営業に携わっていた頃、近くの霞が関にある通産省の売店で買ったものだ。レコードはいまも新品同然だから、その頃2~3度しか聴いていないはず。
しばらく作業を中断して、1枚目のA面(第1番)を聴く。
この音量なら耳障りにならない。多少は仕事の助けになるかもしれないぞ。
3枚目B面の第6番を聴き終わると2時間は経ち、4時過ぎている。その間、紀行文はどこへやら。忘れ去っていた。
が振り返ると、これ、進行中の京都の寺社にマッチしているような気もする。自己主張が強そうでなく、むしろ控えめに聞こえ、作業を妨げそうにない。
高台寺で撮った写真を眺めると、小堀遠州が造った庭園や観月台、開山堂、……シックな景色がBGMを心地よしとしているようだ。
ねねの(秀吉への愛というよりも)与えられた人生への献身と信心。そんな空想ももたげて、もう一度、今度はこの紀行文を書きながら聴きなおすことにした。
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