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【景清】 三遊亭圓馬(三代目)

 なまじ目が見え気を揉むよりも、いっそ盲(めくら)がましだろう

【かつぎや】

 新玉の年立ちかえるあしたより若柳(わかやぎ)水を汲み初め(そめ)にけり

 門松は冥土の旅の一里塚、めでたくもありめでたくもなし

 あすありと思う心の仇桜、夜半に嵐の吹かぬものかは

【火中の蓮華】 三遊亭圓朝

 宗旨論何方(どっち)が負けても釈迦の恥

【紙くず屋】

 丸めて投げ込む紙屑篭は、愚痴や恨みの捨てどころ

 惚れたほの字はどう書きました、迷う玉の字へ偏がつく

 ほれたでもなし惚れぬでもなし、ただ何となく会いたくなるのが惚れたのか

 枕かせえと皮肉な言葉、そばにあるひざ知りながら

【かわらけ町】 三遊亭圓生(六代目)……注:小島貞二

 江戸にはいろいろな名の町名があったというマクラから、麻布の土器(かわらけ)町に萬屋(よろずや)幸右衛門という質屋があり、そこに長く奉公していた女中が暇をもらって故郷へ帰った晩、出火して近所が焼ける。悪い評判が立ったので、早速、質屋は張り紙を出す。
『質物一切、何事もござなく候、ならびに家内一同、怪我なく候、萬幸』
 というのである。
 質物一切、何事もござなく候、ならびに家内一同、けがなく候、マンコウてんで……。その前を通りましたのが、太田蜀山という名代の狂歌師で、矢立を取り出して、その脇へ、スラスラと書いた狂歌が、
『マンコウに毛がないとてのことわりはかわらけ町にいらぬ立て札』…………

【替わり目】 桂  米朝

 酒は澗(かん)、肴は刺身、酌はタボ
  タボ・・・日本髪の張り出した部分、転じて女性

 縁は異なものまた味なもの、ウドが刺身のつまとなる

 去年の今夜は知らない同士、今年の今夜はうちの人

【堪忍袋】 三遊亭金馬(三代目)

 誰に見しょとて紅鉄漿(べにかね)つきょぞ、みんな主への心中(しんじゅ=あなたのため)だて

 女房に負けるものかと大だわけ

【堪忍袋】

 なる堪忍は誰もする、ならぬ堪忍するが堪忍

【雁風呂】 三遊亭圓生(六代目)

 噺家殺すに刃物はいらぬ、あくび三つで即死する

【巌流島】

 さあことだ馬の小便渡し船

 さあことだ床屋のおやじ気が違い

 さあことだ下女はちまきを腹にしめ

 寝ながらにキセルで上げるげんげ窓

 はたかれてほうり出されてけやでな(?)キセル 惚れなきゃ口まで吸(喫)やしない

【祇園祭】 古今亭志ん生(五代目)

 たまたま会うのに東がしらむ、日の出に日延べがしてみたい

 火箸かき寄せ灰かきならし、主の名を書き目に涙

 あざのつくほどつねっておくれ、それをのろけの種にする

 膝にもたれて顔うち眺め、こうもかわいくなるものか

 舌の上小判消えゆく鰹かな

【首ったけ】 古今亭志ん生(五代目)

 惚れて通えば千里も一里長い田んぼもひとまたぎ

 だいたい、この「素見し(ひやかし)」という言葉も、吉原から出たんだそうで、ありまして、吉原のそばに、紙すき場があって、紙屋の職人が紙を水に浸しておいて、冷やけるのを待ってンのが退屈だから、「ひとまわり回ろうじゃないか」てンで、冷やかす間まわるんで、これを「ひやかし」とつけたんだそうですな。

 浅草から吉原へかかった大きな田ン圃がありましてな。
これを突っ切って行ったんです。俗にこれを吉原田ン圃といいまして、
「惚れて通えば千里も一里、長い田ン圃もひとまたぎ」
 なんて、学校じゃあまり教(おせ)エないけど・・・

【稽古屋】 古今亭志ん生(五代目)

 男を惚れさす男でなけりゃ、粋な女は惚れやせぬ

【月給日】 三遊亭圓歌

 お酒飲む人花ならつぼみ、今日も酒酒(咲け咲け)、明日も酒(咲け)

 親の意見と冷や酒だけは、後でじんわりきいてくる

【孝行糖】 三遊亭金馬(三代目)

 芸人は上手も下手もなかりけり、行く先々の水に合わねば

 先々の時計になれや小商人

 世の中は澄むと濁るで大違い、はけに毛があり禿に毛がなし

 璃寛糖(りかんとう)に芝翫糖(しかんとう)、璃寛糖の本来は、うる(うるち)の小米に寒ざらし、カヤー(榧の実)にギンナン、ニッキにチョウジ(肉桂に丁字、ともに香料)、チャンチキチン、スケテンテン・・・

 孝行糖、孝行糖、孝行糖の本来は、うるの小米に寒ざらし、カヤーにギンナン、ニッキにチョウジ、チャンチキチン、スケテンテン・・・

 むかし、むかし、唐土の、二十四孝のその中で、老莱子(ろうらいし)といえる人、親を大事にしようとて、こしらえあげたる孝行糖だ。 食べてみナ、おいしいよ、また売れた、うれしいね・・・

   前座ばなし「平林」

 タイラバヤシかヒラリンか、一八十のモークモク、一つ八つの十っ木っ木

【小言幸兵衛】 三遊亭圓生(六代目)

 竹ならば割って見せたい私の心、先へ届かぬ不幸(節)せ、すぐとって、これほど思うにもし添われずば実も宝の持ち腐れ

【五人廻し】古今亭志ん生(五代目)

 送る朝寒む迎える夜寒む、里の廊下に泣く素足

 女郎(じょうろ)買い振られて帰る果報者

  そのころの花魁の姿はってえと、頭は赭熊(しゃぐま)というのを結いましてな、そして、緋縮緬(ひぢりめん)の長襦袢に、上から友禅模様の裲襠(しかけ)というものをはおっております。この裲襠を、ズーッと高くはしょって、右の手でこいつを、こう、褄(つま)をとるんですな。

 この楼(うち)は、牛と狐の泣き別れ、「もうコン、コン」

 寒からぬほどに見ておけ峯の雪・・・(吉田兼好)

【こぶ弁慶】 桂  枝雀

 お腹が前へ迫り出すと、おいどが後ろへ飛んで出る。
 「おいど」はけつというやつでんな。
 けつもけつ、今月、来月、再来月。伊達のたいけつ、天下の豪傑、けつ食らえ。いかな裁判官もこの決ばかりは判決に困ったと言うようなケツ。
 ひょっと雨が降ったら大の男が5〜6人雨宿りができると言うような大きな尻でございますが・・・。
 
【子ほめ】 桂  枝雀

 丸い玉子も切りよで四角、物も言いよで角がたつ

【小間物屋政談】 三遊亭圓生(六代目)

 人間の猛りまである小間物屋
 かのほんへかの品そえて小間物屋
 長いのは流行りませんと小間物屋
 越前は一本もない小間物屋
 小間物屋にょきにょきにょきと出して見せ
 生きもののように扱う小間物屋

【子別れ】  古今亭志ん生(五代目)

 弔いは山谷と聞いて親父行き

 色にはなまじ連れは邪魔

 初回惚れしてわしゃ恥ずかしい、うらに来るやら来ないやら

 見世清掻に引き寄せられて、つい居続けの朝の雪

見世清掻(みせすががき)

 江戸吉原の遊郭で、昼見世・夜見世の始まる時刻に、縁起棚の鈴を鳴らすのを合図に、新造たちが店頭に出て並び、長唄・小唄・豊後などを本調子・二上りなどで、唄なしに弾く三味線の清掻の曲。また、それを弾くこと。

国語大辞典(小学館)


 一度いや解ることだよ二度も三度も、くどいじゃねえかてめえだって、泥水飲 んだひと

 手に取るなやはり野に置けれんげ草

 後悔を先に立たせて後から見れば、杖を突いたり転んだり
 
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