1.まえがき 4.生前墓地
2.小説4篇 5.サヨナラ2件
3.ホームベーカリー 6.断捨離する、される
7.不可忘〝Yさんの贈り物〟
2.小説4篇
 昨年5月の喜寿を機に、この夏まで1年と少しかけて一つ仕事をした。自分史小説4篇の(最後の)見直しだ。今回はいまの自分の心境に照らし合わせながら、加筆修正を試みた。改悪も多かろうが、自分の納得が前提なのでやむなし。次のとおり、今回も全て独りよがりの英訳としわがれ声の朗読付だ。
 
タイトル
所在地 和文朗読 英文朗読
海の男の一生 (父の生涯)
Life of a Seaman
雑記帳第110話 4時間19分 5時間10分
ぼくのサラリーマン25年 (48才まで)
25 Years with Hayatama Steel
雑記帳第114話 5時間39分 5時間58分
ピーチャンとぼくの五十代
I am Pea-chan, the Parakeet
雑記帳第111話 2時間29分 1時間46分
怪獣の棲む講堂物語 (60代)
Auditorium Where Monsters Live
雑記帳第116話 10時間44分 11時間38分

 ……………
 「海の男の一生」は、父が主人公で母が副主人公。ぼくはその長男。
 海の男たる父、その生涯を母や弟の助けを得てつづった。33才まで17年間、南洋アラフラ海で真珠貝採取に身を捧げ、帰国後も68才で他界するまで、起伏ある人生を全うした父。苦労を共にした母のことを含めて、書き足りなさは重々承知だが、これがぼくの限界。が、心を込めた。

 ……………
 「ぼくのサラリーマン25年」は、大学卒業と同時に名古屋が本社の大同製鋼(現、大同特殊鋼)に入社し、脳梗塞で倒れたのを機に48才で退社するまでの25年間。それなりの紆余曲折を振り返りながら、その青壮年時代を身びいき含みで書いた。

 ……………
 大同を中途退社したあとのおよそ10年間。夢見の悪い見込み違いだらけで、妻にはずいぶん迷惑をかけ苦労させた。
 その間に1羽のセキセイインコを飼った。そのピーチャンがぼくの雌伏の期間を救ってくれた。ピーチャンの8年の生涯はぼくの心の支えであり、いまの幸せな生活につなげてくれたと心得ている。それが「ピーチャンとぼくの五十代」だ。
 今回の改訂でピーチャン亡き後の自分の心境を加えたが、これ、蛇足の感強し。

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 そして60代に記念すべき出来事がふってわいた。その結晶が長編小説「怪獣の棲む講堂物語」だと言いたい。
 還暦過ぎた頃、80才を超える大学先輩の同期会「十二月クラブ」のホームページ(HP)制作を手伝った。その小一年が、これといった思い出のない大学母校をグイと身近にしてくれた。

 HP完成のあと幹事のN先輩が親しくしてくれ、彼が同窓の集い「如水会」の殆んどの催しにぼくを誘うようになった。

 そうした中で先輩は「国立(くにたち)キャンパスの兼松講堂だが……」と、その講堂の成り立ち探求を共にするようぼくに要請した。
 なぜか怪獣が跋扈(ばっこ)する大学講堂。それが〝建築の巨人〟伊東忠太の作で、彼が自分の手でこねた怪獣も数知れず。
 裏に何かある! 調査が進むにつれ、ベールが徐々に取り払われるがごとく、学園小史ともいえる裏話が顔を見せてきた。

 調査を終え、まとめに入ったとき、先輩は大病を患いご他界。ぼくを伴ったこの仕事がまさに先輩のライフワークとなった。
 病床での先輩最後の願いに従い、ぼくなりに力を振り絞ったのがこの小説だ。自ら超長編と吹聴している。その長さからいっても、読んでもらえるような作品との自信はないが、ぼくなりに自己満足と達成感はある。

 4小説とも上表のとおり、「雑記帳」のどこかに掲載してある。