和文 英文
1.まえがき 4.生前墓地
2.小説4篇 5.サヨナラ2件
3.ホームベーカリー 6.断捨離する、される
7.不可忘〝Yさんの贈り物〟
1.まえがき

 昨年5月(2017年)に喜寿を迎え、市から祝い金をいただいた。
 年齢的には一つの節目であり、幸い医療を含めて後期高齢者・特別扱いの恩恵にあずかっている。その割りに気持ちはこれまでと変わらないが、体は正直だ。年齢(とし)を争えない。
 という間に1年半が過ぎて、現在(2018年11月)、78才と6ヶ月。過ぎ越し方を振り返りながら、今日この頃を書きたくなった。 

 48才で大同特殊鋼を中途退社後は自前の会社を営んでいたので、いわゆる〝給料生活〟は続いており、それに区切りをつけたのは還暦の年、20年ほど前だった。
 その少し前にホームページ「中高年の元気!」を立ち上げ、以来無二の親友の如く付きあっている。(おおむ)ね自分史といってよく、国内・海外旅行の紀行文、その時々のエッセイ、そして自伝小説数篇が大半を占め、朗読を加えている。さらにそれらの英訳にも挑戦してきた。そう、他にふる里紹介や妻の俳句も忍ばせてある。
 それが数年前から目に見えてスローダウンしてきた。旅行回数の減少による紀行文の衰えが主原因だ。物書き意欲の減退もあろうが。

 海外旅行の紀行文は、一部英訳も含めて20作品ほどあるが、身を入れたと言えるのは、5年前までだった。その2013年初夏にオランダ・ベルギー・ルクセンブルクのベネルクス3ヶ国を9日間旅し、それを1ヶ月かけて写真集主体の紀行文にした。さらにもう1ヶ月かけて英訳とそれぞれの朗読(和文:1時間8分、英文:1時間14分)を追加したのだった。
 その前をさかのぼると、バルト3国とポーランド(2012年)、モロッコ(2010年)、中欧4ヵ国(2009年)、エジプト・トルコ(2008年)、……、2002年の中国を手始めに1年に1度以上のペースで海外旅行をし、それぞれの紀行文を書き上げてきた。
 その後は1年後の2014年にインドネシアのバリ島とジョグ・ジャカルタ近郊を6日間、のんびり巡り、紀行文は英文の小品(朗読48分)にまとめた。いまのところそれが最後だ。
 これから行きたいところは? 米国西海岸、オーストラリア、マレーシア、ギリシャ、韓国、……、次々と頭をかすめるのだが。意欲だけが先走って重い腰が上がらず、妻を嘆かせている。

 国内はどうか。今年に入って、5月に新潟県の弥彦村3日間、7月には東北地方半周4日間の旅をし、紀行文に残した。
 が、昨年初夏の京都1週間を除けば、こちらも近年は温泉主体で、安気な癒し本位の旅ばかりだ。

 この10月26日から「富山〝金太郎温泉〟4日間」のツアーに参加した。妻の喜寿祝いが本意。黒部峡谷がさほど遠くないとの見込みでこの観光も楽しみにしていた。が、結果は惨憺たるもの。遠くないどころではなかった。それを含めた旅の一部始終は、「雑記帳第117話」として掲載することができた。朗読にして40分足らずの小品だが、まだ書く余力は残っていると、幾分の達成感を味わえた。

 さて、「78才、半年過ぎて」の今日この頃だ。ここ数日、思い当るところを〝箱書き〟的にメモしてみた。どれも血沸き肉躍るものと真逆かもしれないが、それがぼくの現実。
 もて余すほどの時間に感謝しつつ、幾つかを書き連ねることにする。