1. 前置き、初日 3. 3日目(松本城)
2. 2日目(周辺散策) 4. 4日目(周辺散策)
1-1 前置き
 77才の〝喜寿〟を迎えて半年経つ。寄る年波でもあるか、出不精になり、行動半径も狭まっている。
 夫婦の旅も数年前までは、国内海外を問わず楽しんだ。四季を通じて魅力的なツアーがより取り見取り。とくに海外に重点を置き、〝還暦〟過ぎた頃から10年余り、年2回程度は楽しんだはずだ。もちろん国内旅行も怠りなく、2~3ヶ月に一度。
 そのほとんどが大手旅行社企画のツアーに参加してだった。若いころはお手製の海外ビジネス・トリップを20回近くも重ねたから、旅行社まかせの旅行は安気で文句なし。国内外とも添乗員、ガイド付き、朝晩は食事付き。費用も自前の旅に比べれば極めて格安だから、負担にならない。
 そして、ほぼすべての旅でぼくの趣味が加わる。帰ると同時に紀行文に取り掛かるのだ。乱取りの写真整理に始まって、執筆に邁進。全文朗読をもって仕上げとし、ホームページに加える。いずれも旅の数倍の日数をかけての再訪だ。

 ここ数年、これらの旅を振り返って、とくに国内分の英訳に励んでいる。自分の目で確かめた日本という島国の特異な風土・伝統・文化を自分なりに外国人に知ってもらいたいからだ。
 若かりし頃の社費旅行から近年に至る夫婦旅(めおとたび)を通して、海外を知れば知るほど、日本古来の土壌が誇らしくなり宣伝したくなる。

………………………

 2017年11月12日のいま、正午JR新宿駅発の特急「スーパーあずさ15号」に乗って、長野県塩尻駅経由で信州白骨温泉に向かっている。
 車窓の景色を見るともなく、目の奥はこんな追憶がよぎっていた。

 引きこもり気味のいま、この旅も積極的な発想ではなく、見残している松本城の近くだということで、いわば衝動的に思い立った。が、通り一遍の旅にしてしまうのはもったいない。
 そんなひらめきで、列車が国分寺を過ぎたころ、いずれは紀行文にとノートを取り出した次第。
 さっきのあらぬ追憶を前置きとして、以下、「信州白骨温泉4日間」を追うことにする。
 まずは、結果としてこんな旅だったという日程表から。


2017年晩秋、信州白骨温泉4日間
(11月12日~15日)

11月12日
新宿駅発 12:00 特急あずさ15号
塩尻駅着 14:25
 つるや旅館泊(3泊とも)
  (長野県松本市安曇白骨温泉) 
13日(月) 白骨温泉郷散策
 三十三観音、竜神の滝、冠水渓、隧道し、中里介山文学碑
14日(火) 松本城
15日(水) 白骨温泉郷散策
 噴湯丘、飲泉所、若山牧水・喜志子夫妻の碑、薬師堂

塩尻駅発 12:08 特急あずさ16号
新宿駅着 14:41

1-2 初日 (2017年11月12日、

 快晴、気温15度。
 10時、最寄りの舞浜駅に着くと、秋晴れの日曜日とて、改札口周辺はディズニー・リゾートへの客でごった返し。老若男女、とくに若者。乳母車の赤ちゃん連れも多い。

 早速寄り道だが、昨日は11月11日(+-、+-)で、電池の日とか。今日は? ぼくが喜寿(77才)を迎えてちょうど半年。そして大相撲九州場所初日。39才の安美錦、幕内復帰。頑張れ!
 トランプ大統領がアジア歴訪の出発点日本に到着して1週間経つ。さらにもう1週間、世の中つつがなくを願う。

 「特急・スーパーあずさ15号」は定刻12時、JR新宿駅を出発。
 指定席の12号車は予想外にガラガラ。拍子抜けながら、ゆとりの道中となる。

 まずは駅構内で買ったサンドイッチをぱくつく。列車が国分寺を過ぎたあたりからノートを取り出して、紀行文の前段にと、思いつくままを書き始める。ちょうど2年前に「2015年秋、今日この頃」というエッセイを書いた(雑記帳第91話)。今から2時間余りの退屈な車中を利用して、その続編ともいえる最近の身辺状況を書きなぐろうとの目論見だ。前置きに記載以降は、「2017年喜寿過ぎて」とかのタイトルで、もう一話となろう。

 駄文にはまっている間に列車は甲府も過ぎて、小淵沢駅着。2時前。塩尻駅までまだ1時間近くあり、そこからバスでさらに1時間以上かけて白骨温泉へ。ホテル到着は夕方4時頃のはず。まだまだだ。
 車内は暖房がきいて暖かいというより暑いくらい。雲一つなく無風の快晴下で、車窓を過ぎ行く田園、林、遠くの山並みは、まだら模様の紅葉、黄葉を尻目に、秋盛りだ。

 14時25分、塩尻駅に着くと、ホテルスタッフが改札口で迎えてくれた。客はぼくたちともう一組の夫婦の4人のみ。
 ワゴン車に案内され、こんな説明を受ける。「この辺は標高700㍍です。白骨温泉まで距離は50キロ弱ですが、あちらは標高1,400㍍です。ですから、しばらく走りますと険しい坂道になります。予めご了承ください」。
 言葉に偽りなし。途中までは紅葉(あふ)れ、リンゴの木わんさか。山道に入ると、そんな目の保養は吹っ飛んで、ワゴンはギヤチェンジを繰り返しながら横に縦に揺れまくった。白骨温泉の標識が見えたときには、4人とも安どのため息を漏らした。4時前つるや旅館着。
 やはりこの標高差。塩尻周辺ではまだ盛りの紅葉が、この高さでは1週間前に散りきってしまったとか。

 「3日入れば3年風邪をひかない」という、白濁の温泉。浴衣に着替えるのももどかしく、浴場へ。露天風呂は明日にして、屋内の湯船にどっぷり浸かる。妻は食後に入るようだ。

 6時から夕食。おもてなしの料理は品数豊富。が、妻は心なし食が進まないようだ。ぼくはビールと地酒で、料理は酒の肴。

 なぜか早めのほろ酔い。2人とも食べ残しに恐縮しながら、部屋に戻る。
 ぼくはしばらくテレビを見て、寝床へ。妻はいつものとおり、テレビに見入っている。いつ風呂に入るのだろうか。

寄り道

 夕食時、箸袋にこんなことが書いてあった。

白骨小唄
 わたしゃ しらほね 遂通し(ついどおし)
  抜けて流れて 梓川
   末は犀川 千曲川
    いずれ苦労は 信濃川
  だがね トントン
白骨温泉(しらほね)の由来
 浴槽を湯船と称し、そのふちに石灰石の結晶が付くので、白い船のようになるので、古くは白船ともいわれた。
 現在の白骨は、石灰石が白く骨のように見られるので、いつしか「しらほね」と呼ばれるようになった。
Part 1 朗読: 12'21"
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