1.前置き
3.鈴島、黒潮公園
2.墓参、語らい
4.あれこれ
4.あれこれ

 南紀白浜空港からの帰り便は、鳥がエンジンにぶつかったとかで、出発は20分ほどの遅れ。
 しかし快適な飛行で、午後1時半に羽田空港着。
 ぼくたち4日間の旅は、弟夫婦のもてなしへの感謝いっぱいで終えたのだった。

 この旅で書き残したいくつかを以下に記して、写真集的紀行文とする。

出会い二題

「ぶんさっきゃ」の人

 11月24日、旅の3日目。いよいよ帰り。
 弟宅を後にして、新宮行きバス停へぶらりぶらり。いまは無人の三輪崎駅前だと勘違いしていた。
 首をかしげながら、近くにいた年配男性に尋ねると、「ずっと前はここにあったさかにの」と、丁寧に教えてくれる。
 感謝しがてら、
「小芝 繁といいます。三輪崎へ墓参りと弟夫婦に会いに来ました」
 そう言うと、顔を輝かせて、
「ほんま、あんた繁さんや。わし、ぶんさっきゃのまさふみ(政史)です」
 彼によると、ぼくたちは遠い親戚にあたるらしい。ぼくも自然地の方言交じりで話が弾む。弟のこと、父母のこと、……、ぼくの知らないことが次々と飛び出す。
 10数分、お互い夢中になって時を忘れた。

 そういえば、もう一軒の親戚が「ひどいみゃ」。確か、ぼくの家は「まつだや」。他に「かだいみゃ」、「しんたや」、「……」。昔、親父の時代は、姓をこんな家号で呼んでいたようだ。

料理人のレオさん

 11月25日、旅の最終日。
 朝食は7時から和洋中のバイキング。プレートを手に料理の並んだテーブルを見回っていると、オムレツを作っている料理人が目についた。どうやら日本人ではなさそうだ。声をかける。
「Good morning. How are you?」
 彼は即座に、
「Fine, thanks. How are you?」
「Where are you from?」
「I'm from Czek.」
 チェコ人なのだ。手を休めるグッドタイミングだったか、しばらく会話に付き合ってくれた。
 ぼくの知るチェコは、首都のプラハとモルダウと作曲家のスメタナくらい。いつぞや当地を訪れたときに立ち寄った素晴らしい田舎町が浮かんだが、名前を思い出せない。
「Isn't it Český Krumlov (Crumlaw) ?」
 そのとおり。チェスキー・クルモロフだったのだ。
「Why do you live here in Japan?」
「My wife is a Japanese. I like Japan.」
 あまり邪魔をしてはと、その場を離れた。
 食後、見渡すと他の調理場で小休憩の模様。笑顔で撮影に応じてくれた。ここでもぼくのたどたどしい言葉に気さくに受け答えし、祖国チェコを自慢し、日本をもっと好きだと強調した。

 フロントで彼の名を尋ねると、レオさんとのこと。旅のいいおまけをいただいた。

千畳敷

 最終の宿は「ホテル千畳」だった。まさに南紀白浜・千畳敷の傍だった。
 空港行きバスに乗る前に千畳敷を散策。余得の写真を添付する。

千畳敷、その他の写真

ハンチング、あった!

 この旅、最終日の南紀白浜空港チェックインまで、ぼくの写真は帽子をかぶっていない。旅行中の写真で頭丸出しは珍しい。初日ここで降りたとき、機内に忘れてしまったようなのだ。
 到着ロビーのJALカウンターで調べてもらったが、見つからず。飛行機はとんぼ返りで、羽田へ発ってしまったとの由。
 あきらめたものの、もしもを期して、「見つかりましたら、25日の便の時に受け取れますように」とお願いして、空港を後にしたのだった。

 荷物のチェックインを終えようとする間際、スタッフが、
「これ、あなたのですよね」
 まさしくぼくのハンチング。10数年前、イタリア・ミラノで買った思い出のボルサリーノ。思わず歓喜。

新宮弁

 初日に泊まったハーヴェスト南紀田辺の各階エレベーター際に、こんな額がかかっていた。興味が手伝ってパチリ。
 「ひしる」「ふうわるい」は、わからんではないがぼくたちの新宮弁というか三輪崎弁とは少し違う。 

 弟との語らいは概ね三輪崎弁。それと意識せずやり取りした。帰って城C坊氏の「新宮弁講座」をひも解いてみた。少し引用する。

ばたくる 暴れる。じっとしていず、抵抗する様子。
ひしくる 悲鳴をあげること。とくに幼児。
すっこい ずるい、ずる賢い、こすからい。
はしかい 荒っぽいこと。おとなしくない、うるさ型。
まいしょうら おしまいにしましょう、やめておこう。
まいかって モノが神隠しにあったように行方不明。
やつす 化粧をする、身ぎれいにする。
ふうわりぃ みっともない、格好が悪い。
くろにえる 内出血で黒いあざの症状。
さぶい 寒い。
ふてる 捨てる
ぼちこむ 地面が陥没する、穴に落ちる。
わやになる すっかりむちゃくちゃになる。
あばぶい まぶしい。
うめる 風呂で水を足して温度を下げる。
ふたる 溢れる。

南紀熊野の英文紹介

 ホームページ「中高年の元気!」が生きがいとなっている。
 20年近く前、山歩き紀行文を仲間に誉められたのがきっかけで、気を良くし、国内・海外の紀行文、エッセイ、小説、写真集、お国自慢、等を書き足し書き足して、内容はともあれ、今ではかなりの分量になっている。
 最近になって国内紀行文を中心に、思い入れの日本の魅力を外国人に伝えたくなった。英語上達願望が一つの動機ではあるが、米国駐在の経験と楽しい海外旅行を味わった結果、一方で自分の体感による日本独特の風土・固有の異文化を、英文で海外に発信したくなった。
 となれば第一に「おらが国さ」のこと。書き溜めた南紀熊野のお国自慢を優先した。とくにふる里三輪崎の紹介。
 南紀熊野は世界遺産にも認定されて、それなりに有名だが、新宮・三輪崎は国内でも知る人が少ない。
 逆に意欲がわいて、これまで「中高年の元気!」に和文と英文の次の広場を設けている。

http://chukonen.com/english/nankikumano.html

 いずれこの紀行文も英訳しようと考えている。

熊野古道高野坂、三輪崎口
展望台への小径
展望台から見た三輪崎の海
朗読 (11' 36")
総朗読時間 32分30秒
< Part 3 Part 4 (おわり)
1.前置き
3.鈴島、黒潮公園
2.墓参、語らい
4.あれこれ
和文 英文
再朗読(2023.08.23)
雑記帳第100話
「故郷で墓参 2016年秋」
part1 part2 part3 part4 total
3:13 8:33 5:58 9:40 27:24
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