1.前置き
3.鈴島、黒潮公園
2.墓参、語らい
4.あれこれ
3.鈴島、黒潮公園

 ふる里三輪崎の景勝といえば、熊野古道高野坂、その三輪崎口を入ったすぐ右手小道の先の展望台、そしてケーソンでつながる鈴島・孔島という二つの小島。
 山並みと熊野灘に挟まれた猫の額の漁村、かもしれない。が、捨てたものではありません。
 だから、ぼくもこのホームページ「中高年の元気!」に「南紀熊野」という広場を設け、思い入れを吐露している。

 今回は父母の墓参と弟夫婦との語らいが大目的だから、景勝立ち寄りは余得である。事実足を踏み入れたのは鈴島と海岸べりの黒潮公園だけだった。この二つについて書く。

鈴島

 ケーソンの橋でつながった西側の孔島まで足を延ばすには時間が気になる。孔島は眺めるにとどめ、見物は鈴島のみとした。(11月24日)

 漁協の建物から陸続きですぐにある。その間の埠頭(ふとう)ぐるりに漁船が数十隻停泊している。漁はいまも盛んのようだ。


正面は鈴島

正面は孔島

 9時過ぎ、鈴島近辺の熊野灘は()いでいる。岩礁への波しぶきもおとなしい。

 小学生の頃までこの辺の砂浜は遊び場、海は海水浴場だった。久しぶりとはいえなじみの景色だ。磯崎も波打ち際も遠くの山並みも……、三輪崎の海景色は絵になる。
 岩礁に立っただけでこんな景観。

 小島は一周に10分を要しない。途中、藪と岩陰に隠れてこんな祠。入口の碑には、「神殿新築記念」(昭和52年 久嶋新太夫)とある。

 鈴島の岩穴から眺める孔島。ぼく自慢の写真スポットだ。

 鈴島で撮った写真のいくつかを別に示す。

鈴島と周辺、その他の写真

黒潮公園

 熊野灘沿いにあって、三輪崎と西隣りの佐野をまたいで長細い。

 子供の遊び場、年寄りの憩いの場、潮風と木々の緑の散歩道。母もここを毎日歩いた。
 中でぼくを喜ばせるのがいくつかの歌碑だ。万葉集、新古今和歌集、それらに見出されるふる里の歌。
 なぜだろう。今回、ぼくの目では次の3つしか見当たらない。

苦しくもふりくる雨か神が崎
狹野のわたりに家もあらなくに
神の崎ありそもみえず浪たちぬ
いづくゆゆかむよき道はなしに
三輪が崎夕汐させばむら千鳥
佐野のわたりに声うつるなり

 佐野側を歩かなかったから、藤原定家の歌碑にあえず仕舞いは了解。他は見過ごしたか。
 いつだったか、ホームページに残した三輪崎に関係する歌碑一覧を、ここにも挙げておく。

 噴水は以前に変わらず、断続的に吹き上がっていた。

 園内で掃除に精出している年配の女性に声をかけた。
「小芝の繁さん。前に酒屋やった熊乃おばさんの息子さんやろ。おばさん、ええ人やったよ。私ら、親切にしてもろたさかに。よう知った~るよ、小芝さんとこは。息子さん、二人ともようできたのお。稔さんはこの前まで区長さんやってくれたんやで。奥さんは子供たちに勉強教えてくれてるし。みんなおおきにゆい(言い)やるよ」。
 満面の笑みで話してくれる。妻も強い方言交じりの会話に聴き入っている。いい人に出会えた。

朗読 (7' 02")
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