萩の旅 中国地方の旅
Part11 萩博物館、松下村塾
Part12 野山獄跡、東光寺、
大照院、萩城跡、
城下町、藍場川
Part21 津和野、萩、秋吉台、
秋芳洞
Part22 錦帯橋、安芸の宮島、
広島平和記念公園
萩の旅 Part 2
野山獄跡

 ホテルのつい近くにあった。
 吉田松陰が24歳の嘉永六年(1853)、浦賀に来航したペリーの黒船を目撃し、翌年、下田で米国への密航を図るが失敗、萩のこの野山獄に投じられたのだった(その時の従者金子重之助(重輔) は真向かいの岩倉獄に投ぜられた)。
 密航を企てたときの模様は、先年(2007年)伊豆下田へ行ったとき、当地で松陰が寄寓した村山邸に入り、説明を受けたのだった。松陰がどのように身を隠していたか、密航の機をうかがっていたか……、当時そのままの座敷にて。

伊豆下田・村山邸にて(2007年)

 松下村塾を引き継ぎ子弟の育成に精力を注いでいた安政五年(1858)、幕府が朝廷に無断で日米修好通商条約に調印したことにより、幕政批判を開始、老中間部詮勝(まなべあさかつ)の暗殺を企て、それが発覚すると、再び野山獄に投じられた。その獄舎跡である。
 (翌安政六年、安政の大獄により江戸の天満町獄へ送られ、まもなく処刑された)。

野山獄跡
岩倉獄跡
護国山東光寺

 元禄四年(1691)長州藩三代藩主毛利吉就(よしなり)が創建した全国屈指の黄檗宗(おうばくしゅう)の寺院だそうで、江戸中期の最盛期には堂塔40棟、僧侶80人を数えたという。三門、鐘楼、大雄宝殿は国の重要文化財に指定されている。
 毛利家の菩提寺で、墓所には、三代藩主毛利吉就から十一代までの奇数代の藩主と夫人・一族の墓があり、周囲には五百数基といわれる石灯籠が並んで壮観だった。

 黄檗宗(おうばくしゅう)について、Wikipediaの助けを借りる。 

 黄檗宗は、日本における仏教の宗派であり、臨済宗、曹洞宗に次ぐ禅宗の一つである。唐の僧・黄檗希運(臨済義玄の師)の名に由来する。臨済宗、曹洞宗が日本風に姿を変えた現在でも、黄檗宗は明朝風様式を伝えている。
 本山は隠元隆琦(いんげんりゅうき)の開いた、京都府宇治市の黄檗山萬福寺(おうばくさん まんぷくじ)である。
霊椿山(れいちんざん)大照院

 臨済宗南禅寺派寺院で、東光寺とともに毛利家の菩提寺。明暦二年(1656)二代藩主毛利綱広が初代秀就(ひでなり)の菩提を弔うために建てたもの。秀就の法号にちなんで大照院と名付けたが、山号が大椿山で院号が大照院では大の字が重なるので、霊椿山大照院とした。
 境内には初代と、二代から十二代までの偶数代の藩主と夫人や藩士の墓があり、墓前には約600基といわれる石灯籠が並んでいた。
 東光寺もそうだったが、この墓所も悠然たる雰囲気の中に荘厳と安らぎの美というか、「ここに静かな日本」との思いをした。
 中国地方三十三観音霊場第二十番。

桜冷毛利氏廟所石灯籠 えみ子
萩城跡 (指月公園)

 関ヶ原の役に敗れた毛利輝元が、防長二州三十六万石の居城として築いたという。別名指月城とも呼ぶ。
 明治7年に解体されたそうで、壕と城壁の一部や石垣などが残っていた。
 旧本丸の一部が指月山を仰ぐ指月公園になっており、「園内には志都岐(しづき)神社、花江(はなのえ)茶亭、東園(とうえん)などの遺跡があり」(萩市観光協会)、見応えといい、申し分ないくつろぎの場所と見た。桜の名所といわれ、花見どきがすぐそこ。
 東京上野公園の喧噪とは対極をなすような長閑なにぎわいとなろうが、いずれにしても、さぞかし!

 トイレの帰りにチラリ横を見ると、「花江茶亭」への小路になっている。「茶が振る舞われる」と粋な立て札が示していたが、何気なくスキップしてしまった。調べるとこんな具合、立ち寄るのだった。

 ……幕末13代藩主毛利敬親が安政年間に藩主別邸・花江御殿に増築し、家臣とともに茶事に託して討幕の密議を凝らした茶室。明治22年に園内に移築され、現在、抹茶の接待を行っている。(萩市案内)

萩城城下町

 国指定史跡だそうである。
 いまも江戸時代の地図がそのまま使えるといわれ、静まりかえった小路を歩く。菊屋横町、伊勢屋横町、江戸屋横町。
 萩藩御用達の豪商菊屋家住宅、造り酒屋だった旧久保田家住宅、なまこ壁の土蔵、高杉晋作誕生地、木戸孝允旧宅……、往時もこんなだったのだろう。ちょっと歩いては立ち止まり、しばらくして歩きはじめる。こんな気ままなそぞろ歩きも悪くなかった。

 名所ではないが、道の駅「萩しーまーと」を推奨したい。地料理、山海の珍味、名産の菓子類、……よくそろったものだ。
 「浜料理がんがん」に入って特上海鮮丼をいただく。味と盛りつけはいわずもがなで、値段は地元価格…格安・手頃ということ。

 妻は萩焼の一輪ざしが気に入ったようだ。あれこれ品定めをしてやっと選定、「玄関の下駄箱の上に置くわ」といって店主に微笑んだ。ぼくはぐい飲み2個を求めた。

萩焼に市の花椿活けてあり えみ子

 萩焼店主(まん中)と友だちと妻との談笑が尽きず、別れ際に友だちから「自家製よ」と、夏みかんのみやげ物までいただいた。

日本語・英語も
堪能のウピンさん
 3泊した萩グランドホテル天空は萩市の中心に位置していて、真ん前に「まぁーるバス」の停留所。この便利さが観光になんと役だったことか。
 市内最大スケールの旅館風ホテルだそうである。夕食は海と山の幸尽くしのバイキングや、会席料理だった。
 自家源泉「萩温泉・弘法寺の湯」にも満足。500坪の庭園を見渡せるガラスで囲った円形パノラマ大浴場、露天風呂つき。
…………………………
 他に5月中旬のツアーで再度立ち寄り、印象を深くした二景をあげる。

菊屋家住宅

 日本最古に属する江戸時代初期の大型町屋だそうだ。しばらく内覧する。
 前の道は菊屋横町といい、日本の道百選に選ばれた萩を代表する町並みとかで、なまこ壁が美しかった。

なまこ壁奥に匂へる夏みかん えみ子

藍場川

 時代劇を思わせるような路地脇を流れる小川に鯉が放流されている。どれもどこかの池なら(ぬし)といえる大鯉だ。
 小川は農業用水路や日常生活に利用されているとか。
 「なんとシックな町か、長州萩は」、ついついため息が出た。

町並も萩焼も好き弥生尽 えみ子
 なお、萩のあちらこちら散策に巡回バスを利用し、結構重宝した。
 「萩循環まぁーるばす」、その2日乗車券で、700円。
 西回りコース「晋作君」と、東回りコース「松陰先生」があり、
 行きたい場所に合わせてどちらにも乗った。
Part1-2 朗読(11:47) on
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