Part1 現地到着まで Part5 あとがき
Part2 観光初日
Part3 観光二日目
Part4 観光三日目
Part 5 あとがき

シンガポールは箱庭?

 「地球の歩き方2009」(ダイヤモンド社)によれば、シンガポールの面積は704平方`で、琵琶湖(670平方`)を少し大きくしたようなものとか。
 人口が484万人(2008年現在)だから、人口密度は6,875人/平方`ということになる。これはモナコに次いで世界第2位の数字だ(Wikipedia)。因みに3位はバチカン。以下、マルタ、モルジブ、バーレーン…………
 上記、いわゆる都市国家や小国のデータを、普通の国のものと比較するのはおかしい。日本は、普通の国として、世界第5位の過密国だが、人口密度は343人/平方`で、シンガポールの20分の1である。
 ついでながら、東京23区は13,500人/平方`、大阪市が12,000人/平方`。上海中心部に至っては、50,000人/平方`を超えるそうだ。
 詳しくは、Wikipediaの「人口密度」を参照されたし。興味深い情報がたんとある。

 「箱庭」、7年前に訪れたときのシンガポールの印象だった。
 実質わずか3日間の滞在でも、めぼしい名所はひと渡り巡ったはずだし、おまけに隣国マレーシアのジョホール・バルとインドネシアのバタム島へも行った。
 今回は、その紀行文を読み返し、新たに購入した観光誌をも参考にしての旅だ。得意げに妻を案内するのにもっとも適した海外の地、いまもその考えは変わらない。
 ただし、シンガポールは箱庭≠ナはなかった。二度目の旅を終えて振り返ると、行きそびれた見所・催しのなんと多いことか。グルメ巡りも遠く及ばなかった。
 東京近郊の浦安に30年住んで、「東京をどれだけ知っているの?」と構えられるのと同じような気分……。まあ、今回も大口をたたけない。実質3日間の滞在だけだったのだから、ということにしよう。子象≠フ鼻をなでた程度…………
 Part1でも書いたように、元気なうちに行きたい海外の地が他に幾つもあるから、もう三度目はないだろう。Wikipediaの「シンガポール」の一部を丸写しして、気づいたことを書き残しておく。
……………………
シンガポール共和国の国旗
 赤は平等と世界人類の融和、白は純潔さと美徳。
 五つの星は進歩・正義・平等・平和・民主主義。
 三日月はイスラム教の象徴と新興国家の発展を支えるものという。
地理と気候
 赤道直下の北緯1度17分に位置し、北のマレー半島(マレーシア)とジョホール海峡で隔てられた小島である。周囲の豆粒大の島嶼(とうしょ)をあわせれば63の島からなり、最も大きなシンガポール島は東西42`、南北23`だ。
 国土面積は世界175位で、人口密度は上に書いた。
 山はない。最高地点がブキッティマで、163b。平坦なゆえに、川の流れは緩やかすぎて、水質はよくない。
 1年を通じて高温多湿。平均最高気温が30−32度で、最低気温が23−24度。降水量は12月が一番多くて257_、一番少ない7月が170_。(2008年現在)
 一応10月から3月を雨期、4月から9月を乾期といっている。6月から8月は陽差しがとくに強い。乾期であってもスコールは頻繁にある。
水資源
 深刻だ。水道水は国内の貯水池だけでは賄いきれないため、マレーシアよりパイプラインで原水を購入している。
 この点でマレーシアに首根っこを捕まれており、水問題はシンガポールの大きなアキレス腱となっている。
 そのため、政府としては2003年から「国内の下水を日本の逆浸透膜を使った高度濾過技術を導入して再生処理し、飲用水にも利用可能とする『ニューウォーター計画』を開始」しており、2011年には国内の水需要の30%をこの再生水で賄うとしている。
 ──海外では飲み水の心配がつきまとい、とくに昨年トルコでは往生したが、深刻な水不足のシンガポールで、さほど気にせずにすんだのは不思議である。
 歯磨きもうがいも水道水ですませ、飲み水は全て湯冷ましとした。ペットボトルにお世話になったのは一度だけではなかったかな。
一党独裁
 人民行動党の事実上の一党独裁である。英語で「The People's Action Party、略称:PAP」。
 労働者党など野党の存在は認められているが、言論は大きく制限され、投獄や国外追放などの厳しい弾圧に曝されている。21歳以上の全国民が選挙権・被選挙権を持つ普通選挙だが、野党候補を当選させた選挙区民は、徴税面で嫌がらせをされたり、公団住宅の改造が後回しにされるなど、懲罰≠受ける。
 1965年、マレーシアより独立以来、人民行動党は一貫して与党の座にあり、開発独裁体制のもとにシンガポールを現在の経済大国に成長させた。が、その独裁体制は現在も変わらず続いている。
 選挙は、外国からの独裁批判をかわすためのお飾りの色合いを濃くしている。また、その強圧的・管理的な政策により、国民からは「PAPとは『(税金を)払え、払え(Pay And Pay)』の略である」と揶揄されている。
 マスコミに対する報道規制も厳しいようだ。NGOの「国境なき記者団」が毎年実施している報道の自由度調査によると、シンガポールの評価は低い。
2003年 166の国・地域で144位
2004年 167の国・地域で147位
2005年 167の国・地域で140位
2006年 168の国・地域で146位
2007年 169の国・地域で141位
軍事
 兵力は陸軍50,000、海軍9,000、空軍13,500の計72,500人。徴兵制で、男子に2年間の兵役を義務づけている。
 2006年の軍事予算は100.5億シンガポールドルで、全歳出の22.5%。
 その質、数ともに、東南アジアの中では無視できない軍事勢力という。
 対外的には、植民地時代の繋がりを引き継いで、1971年からイギリス、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリアと5ヶ国防衛協定を結んでいる。空軍・海軍の合同演習も行っている。
 アメリカとの関係も深く、1990年にはアメリカ軍によるシンガポール国内施設使用に関する覚書を締結した。台湾、フィリピンとも暗黙の軍事協力関係が続いている。
 ──7年前ガイドを務めてくれたトーマス氏(Thomas Ho、中国系)は空軍で、2年間が天国であったよし。対して今回のレスリー氏(Leslie Lim=林宥全、中国系)は陸軍で、地獄の訓練だったと嘆いた。どの軍に徴兵されるかはサイコロを振るのと同じ。
観光
 「ガーデンシティ」と呼ばれる美しい国土と、東南アジアの交通の要衝に位置するという便利さで、観光国家的色彩が強い。が、ビーチなどの自然的な観光資源に恵まれないことと、文化的深みが乏しいゆえに、近隣のタイやマレーシアなどと違い、リピーターが少ない。
 この実態を克服しようと、「Resort World at Sentosa」と呼ばれる巨大カジノ・リゾート施設がセントーサ島に建設されている。総投資額が52億シンガポールドル(約3900億円)超で、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ」、世界最大となる水族館、1600席の劇場、商店街や客室数1830室のホテル……、2010年にグランド・オープンする。
高さ制限
 ビルの高さは280bに制限されているそうだ。そのため、最高を競う3つの高層ビル(リパブリック・プラザ、UOBプラザ、OUBセンター)はいずれも280b。
 ──セントーサ島のスカイタワーから本土を眺めたときも、ナイトクルーズで夜景を見たときも、高層ビルの林立に注目した。あちらにもこちらにもではなく、一箇所にかたまっているような気がした。そのはず、商業地区に集中しているそうである。
国民と文化
 国民484万人の人口比率は次のとおりだ。中国系76.7%、マレー系14%、インド系7.9%、その他1.4%。
 この複合民族国家は当然文化も3系統が共存し、異なったコミュニティを形成している。宗教も、仏教、道教、イスラム教、キリスト教、ヒンズー教が、それぞれの居住区を中心に散らばっている。
 ──この雑居と住み分けを象徴するチャイナタウン、アラブ・ストリート、リトル・インディア……、民族色の濃い地区を散策しなかった悔いが残る。
 食文化にも触れなかった。残念だ。ホーカーズで外食文化は垣間見たが。
朗読(17'09") on
──参考記述──
雑記帳第18話「シンガポール2002」
7年前の紀行文
 旅を終えて1ヶ月半発った今晩(2009年4月12日)、現地ガイドのレスリー・リム氏(林宥全)からメール。完璧な日本語の文章で。妻がびっくりした。
 記されていたケータイに電話する。しばらくして彼の声が聞こえた。
「いま成田空港です。今回は浦安へ行けない。いつかまた」
 メールに添付されていた写真がこれ。どこだろう?
<Part4 「シンガポール2009」 おわり
Part1 現地到着まで Part5 あとがき
Part2 観光初日
Part3 観光二日目
Part4 観光三日目
 「某日@某所」に「シンガポール2009」として、写真集を載せています。併せてご覧ください。
再朗読(2023.06.16)
「シンガポール5日間 2009」
part1 part2 part3 part4 part5 total
7:07 14:51 10:49 13:10 15:10 1:01:07
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