Part1 現地到着まで Part5 あとがき
Part2 観光初日
Part3 観光二日目
Part4 観光三日目
Part3 観光二日目(2月25日)
シンガポールの
国花:ラン
(バンダ・ミス・ジョアキム=Vanda Miss Joaquim=ラン科バンダ属)
 庭園の所有者であるアグネス・ジョアキム(Agnes Joaquim)
という女性の名をとって命名された、という。
 今回ジョホール・バル・ツアーは予定していなかったが、深夜シンガポール到着早々、出迎えバスの中で、案内人から「ショッピングとしてもいいですよ。シンガポールの半額ですから」と聞いて、衝動的に決めた。前のときは豪雨で景色を味わうどころではなかったし……。
 円高のおかげでシンガポールでも格安感はあるが、言われたとおり、マレーシアはほとんどの商品がシンガポールの半額だった。品質の良さは先刻承知。ピューター(錫製品)、銀製品、更紗ペインティング、どれを取っても。
マンダイ・ラン園
 ジョホール・バルのマレーシア側へ橋を渡る前に、マンダイ・ラン園に立ち寄った。観光誌には「4ヘクタールの土地に数千種のランが咲き乱れている」。さぞかし!
 前日入らなかった「国立ラン庭園」の鬱憤を一気にはらしてくれる……そう期待して、妻の驚く顔を思い描いていた。
 熱帯に四季がないのは当然としても、年間を通じて季節の移り変わりがあったのだ。シンガポールは熱帯モンスーン気候に属していて、前に訪れた6月は乾期で、いま2月は雨期。これがランの花盛りを決定的に分けていた。
 花はちらりほらり、冒頭の写真はその貴重な花びらである。
 それでも広々とした庭園は、日本の冬景色ではない。数ヶ月後の爛漫に備えて、どれもこれもスタートを切っているかに見えた。
 前夜に降り続いた雨のせいか、草花木々の色模様がすがすがしさを添えていた。第一、空気にスカッとした味があった。
 朝早いからに違いないが、見物客はぼくたち一行の他は数人だけだった。
ジョホール・バル
 シンガポール側からコーズウエイというシンガポール水道に架けられた橋(1038b)を越えるとマレーシア、ジョホール・バルだ。もちろんその間に関所があって、出国手続きを要する。
 人口15万、宮殿や回教寺院と高層ビルがうまく住み分けられた落ち着いた町と聞く。1泊2日ほしいところだが、半日だけの観光、それもショッピングと昼食に大半を費やした。それでも…………
アブ・バカール・モスク
 7年前は雨にむせんでいたこの回教寺院、壁の白が芝生の緑と空の青に栄(は)えている。ムスリム(イスラム教徒)以外は入れないので、外観のみの見物となった。
 後ろの庭に植わっているシュロのようなの、なんという木かな? 無性にきれいだった。
サルタン王宮
 上のモスクと同時期の1866年に、アブ・バカールによって建てられた。ジョホール州のサルタン(君主)の宮廷で、いまも各種式典・儀式・レセプションに使われているとか。
 「青い屋根を持つ白壁のビクトリア様式の宮殿、手入れの行き届いた緑の庭園」、モスクと同じだ。
 ここは中に入って、ロイヤル・アブ・バカール博物館を見物した。歴代サルタンの武器や装飾品が、動物の剥製・牙などとともに多く飾られていた。
 右手遠くに日本様式らしき茶室が見えた。
マレー文化村
 ここに立ち寄るのが、ジョホール・バル・ツアー参加の目的だった。
 到着するや、例によって(7年前と同じということ)男女数人の民族舞踊がお出迎え。イスに腰掛けてしばらく観賞した。
 余興として奏でられた、アンクロンという竹細工の民族楽器が目を引いた。こんな変哲のない割り竹の羅列が楽器≠ニ呼ばれる音を出すのか。子供だましと思いながら聴きはじめて、聴き入ってしまった。お年寄りの演奏は片手間的な構えだが、音色・メロディは南国的にさわやかだった。
アンクロン(竹製の民族楽器)
 更紗ペインティングのハンカチ、スカーフを数枚購入。下の写真の彼女たちお手製なのかどうかは不明だが、色彩・模様、どの一枚も気に入った。帰ったら友人に配ることになるが、もったいぶった説明を考えなくっちゃ。
 ピューター(錫製品)の小ジョッキを数個買った。自分用と子供たちに。
更紗ペインティング ピューター
 妻は妻でなにやら買っていた。子供たちや友人を考えてだろうが、時間はぼくの倍かかる。いつものこととて、辛抱強く待ち、適切なアドバイスもしたつもり。
 帰りがけ、近くのグランド・ブルーウェーブというホテル1階のレストランで、マレーシア料理をいただいた。ビュッフェ・スタイルだが、落ち着いた雰囲気の高級レストランだ。妻は、料理もデザートも気に入ったようだった。ぼく? 右に同じ。
(ジョホール・バル・ツアー料金=6,500円/人、昼食付)
ナイト・サファリ
 夜の動物園は世界でここだけだそうだ。1994年オープン、シンガポールが世界に誇るワールドクラスのアトラクション≠ナ、40ヘクタールの広い敷地に1000頭130種の夜行性動物が棲息≠ニ、案内パンフレットにある。……当然日没後でないとはじまらない。
 夕刻到着してから、たっぷり時間をかけて夕食し、ショーを楽しみ、ぐるりの催しや軒を連ねた売店を見物して、開園を待った。
 7時40分に1台目の3両編成トラムが発車。ナイト・サファリのスタートである。
 ぼくたち一行は日本語解説付きトラムに乗り、ゆっくりゆっくり40分かけて、イーストループとウェストループを回った。
 ぼくにとっては7年前に続いて2度目である。あのときは物珍しさも手伝ってか、印象が強い。
 野生動物たちと観光客のトラムとの境界線は、さりげない池や堀だけだ。草木もその役割を果たしているか。トラだのライオンだのワニだのの獰猛な動物がいるのにと、不安と不思議が交錯したものだ。草むら、川や池、薮、草原、熱帯雨林……そのほの暗い中で、動物たちが目を光らせて動き、唸り声があちらでもこちらでも聞こえる。鳥たちの鳴き声もかまびすしかった。
 …………
 今回、2月はまだ雨期。夜間動物園もシーズンオフなのだろうか。動物たちは前のときより間違いなく少ない。心なし元気もない。唸り声もなく、鳥たちの鳴き声は一切聞こえなかった。
 これはぼくの勝手な感想であって、妻の印象は別だった。結構驚き、楽しんだらしい。「よかったわね!」と、喜びをあらわにした声に水さすわけにもいかず、「そうだよ、よかったろ!」と相づちした。
 撮影禁止のため、ナイト・サファリは、トラムで出発前にガイドのレスリー氏が撮ってくれたこの写真しかない。
(ナイト・サファリ料金=6,500円/人、夕食付)
朗読(12'04") on
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