Part1 現地到着まで Part5 あとがき
Part2 観光初日
Part3 観光二日目
Part4 観光三日目
Part4 観光三日目(2月26日)
 午前中シンガポール動物園を巡り、夜はシンガポール川をナイト・クルーズ。その合間の午後のひとときは、市街目抜き通り(オーチャード通り)をオチャぶら。
 深夜11時半、チャンギ空港を飛び立つまで、目一杯に一日を楽しんだ、ということにする。
シンガポール動物園
 地図で確かめると、前日入ったマンダイ・ラン園の近くで、隣りがナイト・サファリになっている。1973年開園、世界でも類を見ないオープンシステムの動物園≠ェうたい文句。
 陳さんという女性ガイドが8時半にホテル・ロビーに迎えてくれた。この観光はぼくたち二人だけのようだ。英語ガイドの6人グループと動物園入口まで一緒する。さほど暑くもなく、さわやかな青空でラッキーだ。
 まず園内の主だったところをひと渡り見て回る。途中カートに乗ったりして散歩気分。「ホワイト・タイガーを見せられなくて残念だわ」陳さんは何度も言った。
 あとは昼まで、二人の自由行動となる。
 確かにいま、動物・植物ともにシーズンオフだ。観光初日の植物園でも、二日目のラン園、ナイト・サファリでも感じたことであった。
 ここも動き回っている動物の数は少なく、見渡せる動物たちはもの静かだ。草っぱらに1頭だけで、首を垂れて寂しそうな牡ライオンが印象的だった。
 チンパンジー、オランウータン、チーター、テングザル、テナガザル、コビトカバ、キリン、アフリカライオン、マレーグマ、シマウマ、ホッキョクグマ、シロサイ、マレーバク、ワニ、ゾウガメ、アシカ、ペンギン…………
 名前を挙げるとずいぶん見たような気になる。他にも目にした動物はいるだろう。実際は名前の賑やかさとはほど遠かった。
 それと知らないから、コビトカバをチャンと撮らなくて残念だったなあ。最も原始的なカバといわれ(進化したカバとは?)、世界四大珍獣にあげられているとか。英語名は「Pygmy Hippo」。
 オランウータンは、世界に約5千頭しかいないといわれ(スマトラ島とボルネオ島)、この動物園には25頭いると言っていた。例のごとく元気なさそうだが、それが普段の姿なのかなあ。あとで見物したストーリー仕立てのショーにも出演していた。
 そのレインフォレスト・ファイトバック・ショー。
 30分の物語ショーで、熱帯雨林の村が舞台。森を乱獲して開発しようとする白人に、村の子供や若者、動物たちが立ちはだかって、懸命に自然を守る。
 観客席の真上から舞台に渡されたロープを伝って、猿やリスやの小動物が登場する。舞台では、このヤシをかじっているオランウータンやオーム、インコ、サギ、……。
 客席はほとんどが子供たちだった。ここだけは賑やか。主役の女の子への声援や白人開発者へのブーイングを送っていた。
 …………
 福島県の動物園にお勤めの5人組にお目にかかった。下の写真の若い3人と少しお歳を召した2人。ツアーの大半で付き合った。ゲラゲラ大らか、食事の席でも会話を楽しませてくれた。
 このショーの観客席にいるではないか。ここはそれぞれ真剣で、メモを取っている。彼らが北海道の旭山動物園に追いつくのは時間の問題と見た(残念! 動物園名を聞き損なった)。
(シンガポール動物園料金=4,500円/人、昼食付)
ナイト・クルーズ
 帰国の途につくのは夜11時を過ぎてから。出国手続きやらで9時には空港に着かねばならないが、それまでの有効な過ごし方は? ということで、このツアーを申し込んでいた。
 日没後の7時に、クラーク・キー(Clarke Quay)という観光スポットでもある埠頭からバムボート(30人乗り程度の漁船風観光船)に乗って、シンガポール川のナイト・クルーズがはじまる。といってもわずか30分のクルージングだ。
 対岸リバーサイド・ポイントの華やかなテラス・レストランやビル群に目を奪われながら、ボートはゆったりとしたスピードで、河口まで行って引っ返す。帰りの夜景はビルの林立に加えて、催し会場、特徴的な橋、橋。とどめは噴水を吐き出しているマーライオン像。感動的な眺めというわけではないが、お見事! 昼間の景色とひと味違う──目の保養にはなった。
 甲板では5,6人の若い女性たちが賑やかだった。大学の卒業旅行だという。大いにはしゃいで周囲の年寄りたちを笑わせ、場を盛り上げてくれた。
(ナイト・クルーズ料金=5,000円/人)
 観光終えて岸辺で一休みしていると、ツアー仲間の学生が「いい写真が撮れますよ」と、シャッターを押してくれた。傑作を見て、昨年エジプトのギザでピラミッドを背景にした女性のポーズを思い出した。
オチャぶら(2月25,26日)
 観光二日目と三日目の午後、この国随一の繁華街オーチャード通りをぶらぶらした。通りの名の由来は、「1800年代に、ナツメグとコショーの農園(Orchard)だった」ことによる。
 ガレリアのあるスコッツ通りのところから、東へ東へ宿泊のホテル付近まで、銀ブラならぬオチャぶら(ぼくの造語)である。
 途中左右のめぼしいショッピングセンターに入って、ごった返す人混みにまぎれ、もっぱらウィンドーショッピング。事実妻もぼくも買いたいものが思いつかない。それにしても、シンガポールの人間社会はシーズンオフがないのか。世界が超不況に見舞われているというのに、別世界である。どこも人混みが並みではない。
 のんきに観光している自分を棚に上げてなんだが、まだまだ成長過程という勢いを感じながらのオチャぶら≠セった。
 高島屋2館と伊勢丹2館に入った。どの館も上から下へ、特別にあてもなくキョロキョロしながら歩く。妻にSportifとかいうブランドのバッグ類を勧めたが興味なさそう。ぼくは内心〈ハンチングがあれば〉、と注意していたが、結局どの帽子コーナーも陳列はキャップとハットだけなのだ。
「ハンチングですか? どこにもないと思いますよ」
 高島屋の売り場で言われて、ほんまかな。ぼくが歩き回った限りでは、デパートだけでなく、どの店にも見当たらなかった。シンガポールは、一応英国をはじめヨーロッパ文化が入っているのになあ……、いまもすっきりしない。
 自身、近年都心の有名百貨店とは縁遠く、浦安市内のスーパーダイエーとイトーヨーカドーが行動半径だ。デパ地下は名前は知っているが、テレビで見たこともあるが……。
 その食品売り場。伊勢丹も並みではなかったが、高島屋! 地下2階の食料品の豊富さ! 驚いたのはぼくたちだけだろうか? 妻があきれるほどだったが、「あんた、銀座の三越見た?」と言われるかなあ。
 両日とも高島屋のそこで健康食品的生ジュースを飲んだだけだが、見回してご覧、すごい! ずらり広がった店舗といい、客の賑やかさといい、目を見張った。ここはつねにシーズンたけなわなのだ。
 妻はマーライオンのクッキーを見つけた。試食する。ぼくは自分用として気に入り、ねだる。家でこのような駄文をモノしているときのコーヒータイムにもってこいだ。妻は妻で、お気に召したのだろう、数袋買い物カゴに入れた。
……………………
 ナイト・クルーズのあと、しばらくスコッツ通りのガレリアでウィンドーショッピングしながら送迎バスを待つ。
 空港に着いて、出国手続きを全て終えたが、なにせ搭乗は11時でいま9時。カフェテリアでiPodの音楽を聴きながらコーヒーを飲んだり、免税店をあてもなくさまよったり……。
 帰りの便もさほど混んでない。やはり妻の腰痛が気がかりなので、フライト・アテンダントに、往路のとき同様、その旨話す。飛び立ってからしばらくして、妻を最後部三人掛けに案内してくれた。
 乱気流の恐れがアナウンスされていたが、案ずることなし、なんの揺れもなかった。
 翌朝(2月27日)、予定通り7時過ぎ、機体は成田空港に降り立った。気温は7,8度だそうだが、体感温度はもっと寒くて震えた。
朗読(14'52") on
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