Part1 現地到着まで Part5 あとがき
Part2 観光初日
Part3 観光二日目
Part4 観光三日目
 前夜チャンギ空港からホテルまでのバスの中で、現地ツアーの詳細紹介があった。
 それまで心づもりでは、まずはホテルでゆっくり寝て、疲れを取ってから昼前に日本語定期観光のP社を訪ねて、あれこれ決める予定であった。が、こちらの方が手っ取り早いし、案の定各種そろっている。
 妻に同意を求める暇(いとま)もなく、翌早朝の市内観光にはじまって、最終日夜のナイト・クルーズまで、びっしり6つのツアーを申し込んでしまった。
Part 2 観光初日(2月24日)
シンガポール植物園
市内観光
 7年前に来たときは、確かラッフルズ卿上陸地点にはじまって、イスラム寺院のサルタン・モスクを内覧し、国立ラン庭園では爛漫を謳歌する国花のランに大いに気をよくしたのだった
 今度の第一歩もやはり市内観光から。
 8時半に現地ガイドのレスリー氏(Leslie Lim=林宥全、中国系シンガポーリアン)にホテルでピックアップしてもらって、ツアー同行の10数人の一員となる。昼まで観光、昼食付。
 国立ラン庭園はシンガポール植物園の中にあったのだ。
 その植物園(Botanic Gardens、47ヘクタール)は要所を見せてもらったが、ラン庭園はスキップされた。時間的都合にもよろうが、熱帯も四季まがいがあるとかで、いまランは盛りでないらしい。
 朝の天気は芳しくない。ザーッと降っては止む。またザーッと来る。傘をさしたりすぼめたり……が、息づいた緑に気分はさわやかで、芝生の公園と南国独特の木々が生い茂った小径を森林浴さながらに歩いた。
 ラッフルズ卿上陸地点、つまり1819年、西洋文化がアジア熱帯の小さな陸地に降り立った場所は、観光には欠かせないようだ。
 シンガポール川河口に面してラッフルズ卿の立像があるだけだが、ツアー客が幾組もいた。
 道路脇でやってる大蛇の首巻き商売は前と同じ光景だ。今度は白蛇で小振り、ツアー仲間のお嬢さんが恐がりもせず、蛇をショールにして写真に納まっていた。そのはず、福島県の動物園にお勤めとか。
 サンテック・シティ・モールに入って、ファウンティン・オブ・ウエルス(中国語で財富之泉)という迫力ある噴水を間近で見たあと、Lau Pa Sat Festival Marketで昼食。

 ここ、シンガポール名物のホーカーズ(Hawkers)・フードコート、いわば屋台の集合体である。大ホールの食堂をずらりと屋台群が囲んでいた。中国料理、マレー料理、インド料理……。ぼくたちは中国料理の店を選び、ごった返すテーブル群をかろうじて確保した。
 プロウン・ミーというエビでダシを取ったラーメンが結構いけた。サイド・ディッシュのKayaというココナツ・ジャムをつけたトーストも。
 (ひと言……シンガポールで代表的な朝食といえば、「バターとKayaを塗ったトースト」+コーヒーだそうである。「カヤ」とはマレー語で裕福な≠ニいう意味で、「卵、砂糖、パンダンリーフをココナツ・ジャムで混ぜたもの」。その芳しい味はパンやビスケットによく合う、とのこと。20食分購入)。
 新浦安のスーパーダイエー1階にこの雰囲気を小振りにしたホーカーズがあり、利用するときもある。当方のカフェテリア風簡易食堂と本場ホーカーズを比べるのは野暮というもの。味も賑やかな雰囲気も。
(市内観光ツアー料金=4,500円/人、昼食付)
セントーサ島
 一人旅のときは、夕方からの観光だった。海底水族館、マーライオン、音楽噴水順に見て回った。
 あの時、海底水族館が印象大だった。『アンダーウォーター・ワールド』といい、そこいらの水族館とは比較にならないものだった。
 トンネルに入って一周83bの動く歩道に乗ると、ガラス越しに上も左右も熱帯魚が群をなして遊泳している。父はその昔、ここからそう遠くないオーストラリア東北のアラフラ海で真珠採りのダイバーだった。「こんな眺めもあったのだろうなあ」などと、父のありし日を想起した。
 ところどころで歩道をはずれて周囲をじっくり見渡せる。終点近くでデュゴンがお辞儀していた。
 なぜか水族館が今回のツアーに入ってない。残念この上ない。あのとき牙をむきだした最上階の口の中までエレベーターで上った、地上37bのマーライオン塔に入らないのはいいとしても……。
 その無念を妻に悟られないように、「他にこんなところもあるんだよ」と、さらり説明だけして終わった。
 さて、今回のセントーサ島だ。
 昼食後市内見物ツアーが解散し、オーチャード通りを見物して時間をつぶしたあと、3時に次のツアーに合流した。30分後には橋を渡ってセントーサ島に来ていた。順を追って書く。
 スカイタワー
 駐車場から青空エスカレーターを乗り継いで小高い丘に上ると、展望タワーが聳えている。このオーバーな表現がいいのかどうか、高さが110bで、ともかく高い。キャビンに入って眺めのいい場所を探していると、外でレスリー氏が大書したボール紙を掲げていた。「どの席でも一緒!」
 腰掛けると、その円盤状のキャビンが、螺旋形にぐるりぐるり、回転しながら海抜131bのところまで上がっていく。
 ほどほどに遠く見渡せる空模様で、360度に展開するパノラマをなんとか楽しめた。
 バタフライ・パーク
 シンガポールは雨期なのだ。あいにく雨のバタフライ・パークになった。
 アジア有数といわれる世界昆虫館にある。
 館内には数多くの昆虫コレクションに混じって、総数1500匹という蝶の標本があった。
 が目玉は庭園だ。熱帯植物が生い茂る広々とした庭で色鮮やかな蝶の乱舞! これが期待はずれだった。本格的な雨にたたられて、蝶の舞いはちらりほらり。軒下のエサ箱のところで、かろうじて撮影できたのがこれ。
 では庭園は全くだめだったか。さにあらず。
 蝶に代わって、小鳥たちが賑やか。普段ならもっとだろうが、この天候の中で、ぼくたちを楽しませるには十分だった。
 やはりコレクションより活きた眺めがなによりだ。
 4Dマジックス
 20分だけの子供だまし的映画館。こう言うと実も蓋もないが、時間つぶし的には楽しめた。
 3ディメンションの立体映画にもう一つ、座席が揺れたり、水しぶきが顔にかかったり……。なぜか妻は気に入ったようで、よかった。
 もっと十分に時間があれば、間違いなくアンダーウオーター・ワールドに行ったはずなのだが。
 代わりにイメージ・オブ・シンガポールというシンガポールの歴史・文化・民族館に行くべきだったと内心後悔しているが、時間的に果たせたかどうか……。 
 ソング・オブ・ザ・シー
 お目当ての夜の光と噴水ショー≠ヘ、7年前は音楽噴水(Musical Fountain)と称し、空中舞台の向こうはマーライオンだった。音楽と豪華噴水と七色の光の中で勧善懲悪劇が展開する。世界歌巡りもあり、さくらさくら≠フメロディも流れた。
 いま、大噴水も七色の光線も前より大掛かりだ。その背景が、今度はマーライオンではなく、逆方向で海だ。シンガポール海峡に向かっている。海上中天に彩られる幻影の仮想舞台だ。
 大音響のステレオサウンドが奏でる心地よいメロディ、岸辺では若者たちが舞台狭しとミュージカルを展開する。
 セントーサ島の南海岸に設えられた青天井の大会場、そこで繰り広げられる30分のファンタジー「ソング・オブ・ザ・シー」は、漆黒の夜空をメルヘンの世界にし、ぼくたち観客の目を見晴らせ、どよめきっぱなしにした。
 今度のミュージカル仕立ては若者向きで、当然英語だが、わからんままに結構楽しめた。
 ぼくたちは7時のショーで、次が9時から。入れ違いに、大行列ができている。毎回満員なのだろう。
(セントーサ島ツアー料金=6,000円/人、夕食付)
 セントーサ島(Sentosa Island)は、シンガポール本土から800b離れた小島で、東西約4`、南北約1.5`だそうである。各種レジャー・娯楽施設やアトラクションが数々ある。大規模再開発が数年前から進んでおり、来年完了とのこと。
 とはいえ豆粒大の島だ。要所々々は大方見終わったと思っていたら、あにはからんや…………
 ビーチを利用しなかったのは認めるとして、見どころも他に、「イメージ・オブ・シンガポール」「シロソ砦」「ドルフィン・ラグーン」、……結構ある。
 地図をよく見ると、島全体が7つほどの地区に区分けされており、ぼくたちはそのうち「インビア(Imbiah)地区」のアトラクションを幾つかと、「シロソ・ビーチ(Siloso Beach)」での光と噴水ショーを楽しんだ、ということになる。
 同時期ハワイで遊んできた友人に「そちらは退屈したでしょう」と言われたが、なんのなんの。セントーサ島だけでもあと数日ほしい、……夫婦してそう感じている。
「市内観光」朗読 (5'55") on
「セントーサ島」朗読 (10'03") on
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