Part1 出雲大社 Part4 松江城
Part2 フォーゲル・パーク Part5 玉造温泉
Part3 足立美術館 Part6 アラカルト
Part6 アラカルト

安来駅で思い出した

 足立美術館から松江城へ向かうのに、安来駅から松江駅までJRを利用した。
 安来駅のプラットホームにたたずむと、「日立金属安来工場」が見えた。
 大同特殊鋼築地工場(名古屋)で鋳鋼品の生産工程管理にたずさわっていた頃というと1960年代後半、思えばもう半世紀前になる。
 確かステンレスバルブで最大の競合メーカーが日立金属安来工場だったはずだ。品質・価格・納期・アフタサービスともに、工場・営業あげてライバルの動向に神経を使い、毎月の生産連絡会議では、定例的に営業が状況報告したものだ。
 1980年代に2年半ほど米国ニューヨークのDaido Steel Americaに勤務した。日立金属のS氏とは同業のよしみで親しく付きあった。彼も入社直後は安来工場でぼくと同じような仕事をしたと言っていたっけ。

足湯に浸かって原稿チェック

 3日目(4月5日)、松江城見物を終えて帰途につく。
 一畑(いちばた)電車の「しんじ湖温泉駅」まで松江市内循環バスで来て、駅のロータリーで玉造温泉行きの路線バスを待つ。約1時間半、妻はその辺を散策することにし、ぼくは駅前の足湯休憩所を見つけた。
 実はこの旅の合間にずっと、幻想紀行文「イベリア半島2005」の原稿を加筆修正している。初稿段階でチェック用に朗読し、2時間半の長編(文庫本1冊分?)であることを確かめてある。
 この作業があるから、田舎の交通不便はむしろありがたい。
 足湯に浸かり、ヘッドホンで自身の朗読を聴きながら原稿チェックにいそしむ。1時間ほどで妻が帰り、撮ったのがこの写真です。

 因果な性格とあきらめているが、この旅行の間、ホテルでは朝も夜も、観光中はこのようなときに、紀行文の加筆修正に励んだ。いつものこととて、妻は観念している。
 2月末から3月にかけて、取り立ててやることがないのを幸いに、8年前に旅行した「スペイン・ポルトガル10日間」の回想紀行文に挑戦することにした。それが意外と苦戦を強いられ、加えて3月下旬に「マラウイ大使館訪問」というイベントのレポートが重なったため、どこやらの路地裏に迷い込んだ状態で4月になだれ込んだ。
 8年前は回想可能の圏外≠セった。撮りまくっていた写真を何度眺めて思い出せるのは本当にわずかばかり。忘却とは忘れ去ることなり。正直驚きあきれた。
 開き直って幻想≠ニいうことにしたが、残念ながら夢まぼろしに現実味を帯びさせて、ダイナミックに展開させうる力はなかった。が折角と、この旅行を巻き添えにして大いに奮闘し、かなり加筆した。
 帰ったら、国際センターのKさんが「昨年スペインへ行ったときの写真、よろしければ」と、時の氏神になってくれた。おかげで、尻切れトンボになりかかっていた最後のところに、いいオチをつけてくれたと喜んでいる。
 1週間前になんとか、雑記帳第74話「回想イベリア半島2005」として公開することができた。
 この写真集の尻切れトンボは仕方なし。

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 わかりづらい地図で恐縮ですが、宍道湖南の玉造温泉(松江市)に3泊し、宍道湖北西にあたる出雲大社(出雲市)、すぐ北の松江フォーゲルパーク(松江市)、東側の松江城(松江市)、そしてずっと東の足立美術館(安来市)を見学しました。
 足は、シャトルバス(足立美術館)、路線バス、それに一畑電車とJRを利用しました。