足湯に浸かって原稿チェック
3日目(4月5日)、松江城見物を終えて帰途につく。
一畑電車の「しんじ湖温泉駅」まで松江市内循環バスで来て、駅のロータリーで玉造温泉行きの路線バスを待つ。約1時間半、妻はその辺を散策することにし、ぼくは駅前の足湯休憩所を見つけた。
実はこの旅の合間にずっと、幻想紀行文「イベリア半島2005」の原稿を加筆修正している。初稿段階でチェック用に朗読し、2時間半の長編(文庫本1冊分?)であることを確かめてある。
この作業があるから、田舎の交通不便はむしろありがたい。
足湯に浸かり、ヘッドホンで自身の朗読を聴きながら原稿チェックにいそしむ。1時間ほどで妻が帰り、撮ったのがこの写真です。
因果な性格とあきらめているが、この旅行の間、ホテルでは朝も夜も、観光中はこのようなときに、紀行文の加筆修正に励んだ。いつものこととて、妻は観念している。
2月末から3月にかけて、取り立ててやることがないのを幸いに、8年前に旅行した「スペイン・ポルトガル10日間」の回想紀行文に挑戦することにした。それが意外と苦戦を強いられ、加えて3月下旬に「マラウイ大使館訪問」というイベントのレポートが重なったため、どこやらの路地裏に迷い込んだ状態で4月になだれ込んだ。
8年前は回想可能の圏外≠セった。撮りまくっていた写真を何度眺めて思い出せるのは本当にわずかばかり。忘却とは忘れ去ることなり。正直驚きあきれた。
開き直って幻想≠ニいうことにしたが、残念ながら夢まぼろしに現実味を帯びさせて、ダイナミックに展開させうる力はなかった。が折角と、この旅行を巻き添えにして大いに奮闘し、かなり加筆した。
帰ったら、国際センターのKさんが「昨年スペインへ行ったときの写真、よろしければ」と、時の氏神になってくれた。おかげで、尻切れトンボになりかかっていた最後のところに、いいオチをつけてくれたと喜んでいる。
1週間前になんとか、雑記帳第74話「回想イベリア半島2005」として公開することができた。
この写真集の尻切れトンボは仕方なし。
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