初日(7月1日) 旅館到着、北向観音
2日目(7月2日)-1 周辺社寺
2日目(7月2日)-2 常楽寺、安楽寺
3日目(7月3日) 上田城址
 ちょうど半世紀前の結婚以来、妻の父母の故郷である長野県が気に入っている。佐久地方の望月を中心にあちこち見て回った。
 山景色、川の流れ、温泉、地の料理、どれをとっても心安らぐ。訪れるごとになんらかの新鮮な印象を得てきた。
 別所温泉の名はもちろん知らないわけではなかった。が訪れるのは今回初めて。なんと、上田市の近くなのだ。

 2年ほど前に書き上げた自伝小説を英文化しようと思い立ったのが高じて、元の和文自体も手直しすることになり、2ヶ月かけて何とか両方ともつじつまを合わせることができたのが数日前。その作業にどぶづかりの頃だった。終えたらどこかの温泉でゆったりしたい。
 妻が旅行案内誌から選んだのがこの旅だ。出発日に間に合うよう、作業に拍車がかかった。

 2015年7月1日(水)、旅の初日。
 いつもどおりの一日がはじまる。
 5時起床。ラジオを聞きながらしばらくパソコンをいじくる。メールチェック、インターネットで別所温泉とその界隈の予習。ラジオの6時を合図に朝食準備。
 自伝小説改訂作業中に浮気の虫が這い出てきて、もう一つの自分としては超長編小説「怪獣の棲む講堂物語」をもっと良くしたい気持ちになっていた。前日印刷した大部をぱらぱらめくりながら朝食とする。

 ジュース(というよりスムージー)は、オレンジ、バナナ、黒酢、ブルーベリーに少し氷と水を加えてミクシングしたもの。
 ヨーグルトは、牛乳パックの牛乳少々を市販のカスピ海ヨーグルトに入れ替えて、ヨーグルトメーカーで10時間寝かしたもの。お碗に大さじ4杯分を入れて、それに妻特製のイチゴジャムを加えた。
 パンは10枚切り。マーガリンを薄く塗ってある。
 今朝のコーヒーは、前日の残りに牛乳を少し加えた。
 ……いつもの豊かな朝食だ。写真の見てくれは良くないが、満足の取り合わせ。
 ところで、妻はまだ寝床で安眠中。

 …………
 北陸新幹線「あさま609号」は東京駅を11時24分に出発した。ゆっくりのスタートだ。
 12時57分上田駅着までに、社内で駅弁の昼食を終える。
 JR上田駅から別のビルに歩いて、上田電鉄・別所線の2両編成に乗車。

 名物車掌さんのハーモニカに合わせて乗客が童謡を合唱。ぼくたちももちろん加わる。30分ほどで別所温泉駅に着いたか。時間を忘れていた。

駅長はハモニカ上手花南瓜(かぼちゃ)
Emiko
………………………
 旅館・花屋へは駅から歩いて10分はかからなかった。
 シックなたたずまい。ここで2泊くつろがせていただくことになっている。

 2時を過ぎたが、風呂に入ってくつろぐのはまだ早い。近場を少し散策することにした。
「北向観音へ行ってらっしゃい。お気にいると思いますよ」
 和服の女性に勧められて、ぶらりと目指す。
 ぼくたちのそぞろ歩きでも20分程度で着いた。

北向観音

 なんの予習もしていないから、特別の感動には至らない。ただただくつろぎを得た。

慈覚大師
???
「昼の蚊やだまりこくってうしろから」
一茶

 案内板をそのまま書き写す。

 本尊は千手千眼観世音菩薩で北斗星が暗夜の指針となるように、この北向きのみ仏は衆生を現世利益に導く霊験があり、南向きの善光寺と相対し古来両尊を参詣しなければ片詣りになるといわれている。
 天長2年(825年、平安時代)常楽寺背後の山が激しく鳴動を続けた末、地裂け人畜に被害をあたえたので、これを鎮めるため慈覚大師が大護摩を厳修すると紫雲立ちこめ金色の光と共に観世音菩薩霊像が現れた。大師自らこの霊像を彫み遷座供養したと伝えられている。
As the stars of the sky provide guidance through the darkness of night, this Kitamuki Kannon has the power to guide people to worldly benefit. This Temple is juxtaposed with Zenkoji Temple to the south, and it was once said that without paying respects at both temples, one would become unbalanced.
In this year 825, when the mountain that lies behind Jorakuji Temple split the earth after a great noise, causing damage to people and animals, the great teacher Jikaku lit a holy fire. From that fire appeared golden light, the color of ripened rice, and the deity Aisenkatsura. Jikaku is said to have carved the statue of that spirit himself and performed sacred rites with it.
観音は北向きなりし夏落葉
Emiko

 「北向観音」、その他の写真

 そういえば、どのパンフレットにも案内書にも、「信州の鎌倉・別所温泉」とある。
 わざわざ鎌倉を(かんむり)にしなくてもと、余計な感想を持った。が字義通りに取れば、ここもお寺が多いはずだ。
 聞けばなるほど「社寺巡り」の観光バスもあるよし。明日はこれを利用しよう。

初日 (現在地) 2日目-1>
初日(7月1日) 旅館到着、北向観音
2日目(7月2日)-1 周辺社寺
2日目(7月2日)-2 常楽寺、安楽寺
3日目(7月3日) 上田城址
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