Part1 出発〜二日目前半 Part3 コスモス園、一茶
Part2 魁夷美術館、善光寺 Part4 アラカルト
Part2 二日目後半 (魁夷美術館、善光寺)

善光寺境内の小林一茶句碑
春風や牛に引かれて善光寺
開帳に逢ふや雀も親子連(づれ)
東山魁夷館
  善光寺本堂前から右へ3分ほど行った城山公園内にある。長野県信濃美術館と併設だ。昨年秋、シニア四人旅で訪れたときは休館だった。
 開館20周年記念展が開かれており、「白い馬の見える風景」がテーマだ。
 テーマの絵画(スケッチ、習作、本制作)20作品に並んで、中国風景、ドイツ・オーストリアの旅、唐招提寺御影堂障壁画のための準備作など、約30作品が展示されていた。撮影禁止。
 急かされるわけでもなく、ぼくにしては十分すぎるほど鑑賞した。白い馬では、習作と本制作の対比もそれぞれ2作品あり、興味深く見比べた。
 どこかで見たような絵もある。「緑響く」「白馬の森」……。
 奈良の唐招提寺には一度行ったが、魁夷の障壁画にお目にかかったかどうか、頼りない。
善光寺
 珍しく無宗派のお寺で、「遠くとも一度は詣れ善光寺」。ぼくはこれで何度目になるか。
 御本尊は一光三尊阿弥陀如来という。552年の仏教伝来の折に、百済から日本に渡った日本最古の仏像と伝えられているとか。信濃国の本田善光によってこの地にもたらされ、善光寺となった。無宗派であるが、天台宗と浄土宗の山内寺院によって護持されている
 本堂に入り、俗に撫仏(なでぼとけ)といわれる「びんずる尊者」の腰と膝と頭をなでた。
 シニア四人旅では、本堂地下の「お戒壇めぐり」をし、漆黒の闇の中で「極楽への錠前」に触れた。別棟の本坊大勧進と大本願にも入った。
 今回もと、その気になっていたが、妻は少し疲れたようだ。一通りの本堂参拝をして、あとは門前街を歩くことにした。
 善光寺大門周辺のあちこちにも一茶のこんな句碑がある。
秋風に歩いて逃げる螢かな
あの月を取ってくれろと泣く子かな
投げ出した足の先なり雲の峰
うつくしや障子の穴の天の川
雀らもおや子連れにて善光寺
稲妻や一もくさんに善光寺
散る花や月入る方は西方寺
雪とけて町一ぱいの子どもかな
花散るや此の日は誰が往生寺
戸隠神社・中社
 3時のシャトルバスに間にあった。ホテルへの途中迂回して、戸隠神社に立ち寄ってもらった。
 ここも四人旅で詣っている。そのときの模様を写真集「某日@某所」にこう記した。
 「茶屋からほど近くに戸隠神社がある。奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社から成り立っているよし。
 創建以来二千年の歴史を刻む神社で、起源は物々しい。神世の昔に『天の岩戸』が飛来し、現在の姿になったといわれる戸隠山を中心に発達し、祭神は、『天の岩戸開きの神事』に功績のあった神々を祀っている。その『中社』に詣った。」 (2009年10月28日)
 今度もその中社だ。妻は初めてなので、サプライズのおまけとて、喜びひとしおだった。
 急な石段を上って境内を素通りしただけだが、1年ぶりに再度目の保養になった。奥社はいつの日か実現を期す。
 中社へ向かう道筋に、冬季オリンピック長野大会(1998年)のときのボブスレーとモーグルの会場跡があった。モーグルでは里谷多英選手が優勝したのだったなあ。
 両会場とも今は忘れられた厄介物らしく、跡地の利用なきまま放置されているようだ。
背景があのときのモーグル会場。
 夕食はホテル1階の「ジグザグ」でバイキング。
 蛙のもも肉がフライで出ている。ここでなぜ? 一茶の里だからかなあ? でも、ヤセ蛙ではない。どこでとれたのだろう?
 首をかしげながら、3つおいしくいただいた。たしかフランス料理で食べたことがある。アメリカのどこかでも……、あのときはcatfish(ナマズ料理)と食べ比べたのだったなあ
 妻もまんざらでなさそうだし(1つだけ食した)、ワインの肴にマッチした。でも、「このレストランでなぜ?」と「どこの産で、なに蛙?」が引っかかって、美味への食欲を妨げた。
その他の写真
善光寺、東山魁夷館界隈
戸隠神社中社
小話集第43話「斑尾高原4日間2010」
<Part1 Part3>
朗読(12:03)  on
…………………………
 【参考】
 後日東京・渋谷のBunkamuraで「フランダースの光」展をみた。ベルギー王国に属する田舎村で、小さな川っぷちを背景に優れた画家たちが育った。1900年前後から30年間の作品、約90点が数部屋にまたがって展示されていた。ド・サーロレールらの象徴主義から、フランス・オランダの画家たちとの交流を通じて、印象主義、表現主義、果てはド・スメットらのキュビズム絵画……、数十年の間にしては目まぐるしい変遷をも見て取れた。
 ベルギーはたしかブリューゲルの国。その影響を受けたという作品も数点あった。
 総じて20世紀初頭、ミンスの素晴らしい彫刻を含めて、ベルギーの片田舎にこのような美術家たちが居たのだ!
 …………
 1階のラウンジで妻とくつろぎながら、真正面の壁に掛かっている絵に注目した。すぐ前までのフランダースの感動さめやらぬこの時……。
 席を立って、壁の間近にせまって数枚の絵をじっと見る。
 振り向くと、「第13回笹尾光彦展ー花のある風景−」。
 画廊はだだっ広くない。じっくり鑑賞した。画想・色彩・筆致……、ポップアート的でもあり、それより安定感があってほっとさせる。独創ぞろいだった。
 と、小柄のぼくと同年配とおぼしき男性が現れる。係員に尋ねると案の定。
 笹尾画伯の了解を得て、展示の数枚を撮影した。
 出来の悪い写真は画伯に平謝りだが、一度どこかで実物を鑑賞されてはいかが。
小話集第43話「斑尾高原4日間2010」
<Part1 Part3>
Part1 出発〜二日目前半 Part3 コスモス園、一茶
Part2 魁夷美術館、善光寺 Part4 アラカルト
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