高野坂(こやのざか。こうやざかとも云う)は、新宮速玉大社から那智大社へ向かう途中の熊野古道だ。今日は新宮側、広角(ひろつの)口から入る。

この梅雨どき、当地で薄日射す陽気はラッキーだ。Tシャツでも蒸し暑い。(先月のシンガポールを思い出した。)
苔むした山道に左足のハンデを気にしつつも、なんのことはなかった。(滑ったのは一度だけ。Gパンのお尻が少し汚れただけですんだ。)
山道に入るや否や、幽玄模様の雰囲気、古風な景色は言わずもがな。途端に小鳥のさえずりがかまびすしくなるのもうれしい。とんびの「ぴーひょろろ」、カラスの「カー、カー」もここでは心地よいアンサンブルをかもす。

森閑の中でいにしえにタイムスリップしたり、途中の海景色で今生の美を目の当たりにしたり、正直、時間を忘れた。
三輪崎の海を見下ろす展望台の後ろに"聴涛庵"という小屋がある。立て札にこんなことが書いてある。
後鳥羽上皇に供奉した当代第一の歌人藤原定家は、その日記「熊野御幸記」に
「山海眺望非ズ無キニ興」と、この森の展望を絶賛す。

確かに波の音のなんと素晴らしいことか。今日は、有名な王子ヶ浜を見下ろすところのより冴えた音だった。
それにしても、広角口といい、三輪崎口といい、観光客はどのようにして入口を見つけるのだろうか?ちょっとした工夫で改善できると思うのだが。熊野古道の名勝高野坂がかわいそうである。
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