1999年7月25日(
7:48 新宿駅(JR) ⇒ 奥多摩駅(バス) 9:42 ⇒ 川乗橋 10:00 ⇒ 細倉橋 10:45 ⇒ 百尋ノ滝
12:30 渓流沿いで昼食 ⇒ 東ノ肩 ⇒ 川苔山 (1,363m) 14::00
14:15 山頂 ⇒ 東ノ肩 ⇒ 舟井戸の鞍部 ⇒ 大根ノ山ノ神 ⇒ JR青梅線鳩ノ巣駅 16:50着 (JR) ⇒ 東京駅
 
 2日前に梅雨が明けて、一気に真夏日になった。無風快晴。
 6時前、JR新浦安駅へ歩きながら、空を見上げて猛暑を予感した。
 電車が舞浜を過ぎると西に富士山が顔を見せる。富士山も、
「暑いですよ、今日は!」
 と声をかけていた。

 …………
 「川苔(かわのり)山いかがですか」、先日メールで誘いがあった。
 「お願い」と返事を出してから、山の本を見て驚いた。『健脚向』──。この1年と少し、登った山は殆ど『一般向』だった。
《んんーん!》
『かなりきつそうですね。手加減よろしく』
 再度メールを入れた。

 格安ホリデーパスで、JR新宿駅から奥多摩行き快速に乗車。5月のゴールデンウイークに御前山へ行ったときは、超満員で最後まで立たされた。今日は早く並んだこともあって、同行6人ともゆうゆう座れた。

 奥多摩駅から西東京バスで15分、川乗橋下車。
 10時、登山開始。ここが標高430m。山頂が1,363mだから、垂直にして900m以上を登ることになる。
 しばらくは林道。10時45分、川苔山(川乗山)登山口。

登山口

 山ではときどき答のない疑問にぶつかる。どちらが正しいのだ。川乗山、川苔山。山の標識はすべて川乗山。市販の地図や山の本は殆どが川苔山。こういういわばくだらないことに引っかかるのがぼくの悪い癖か…………
 《どっちでも》ということにして、ここは刊行物に従い、『川苔山』ということにした。

 すぐの細倉橋から百尋(ひゃくひろ)ノ滝まで小一時間。
 途中、橋や桟道を何度か渡り返しながら、見え隠れする渓流沿いをどんどん登る。そのダイナミックな流れの中低音がさえる。遠くで近くで響きわたる蝉時雨。それに重唱よろしく、ウグイスの長い美声が加わる。
 険しい急登も歩きづらい砂利道も忘れてしまうほど、川苔山は長閑で奥が深い。なるほど看板どおり『健脚向』ではあるが、目にも耳にもすがすがしい山のようだ。

山風景 桟道

 百尋ノ滝は、近くの岩壁の崩壊で立入禁止。杉林越しにわずかしか見えなかった。”100名滝”といわれるこの滝、間近の臨場感は当分お預けのようである。

 さらに小一時間沢づたいを登ると格好の岩場が渓流沿いにあった。(12:30) 岩の脇にザックを降ろして昼食にする。

昼食

ズボン?!

 林道を歩いただけでかなり汗が出ていた。ヴェストはしまって、Tシャツだけにする。下はさすが半ズボンでは危険ということでいつものズボン。このズボンが大いに反省材料になった。

 百尋ノ滝近くまで来たとき、後ろで声。
「おズボン、どうかしたのですか?」
「……? ぼくですか?」
「濡れてますよ!」
「……?」
 うつむいて驚愕した。
「アレ? お漏らししちゃったかな?」
 何気ないふりで冗談気味に言ったが、本心そう思った。愕然とした。ズボンは、両膝上10センチくらいからズブ濡れである。グショグショに濡れている。
 前のほうは見事にお漏らしの濡れよう。お尻も、言われるとおり、ベチョベチョに違いない。触ると手がジットリ濡れている。思わず鼻に近づけた。匂いがない。もう一度お尻のほうで手を十分濡らして嗅いでみた。やはり恐れた匂いがない。とりあえずホッとした。しかし、なぜ?……?
「そのおズボン、綿(めん)じゃないですよね?」
「エッ?」
「綿はダメなんですよ。山では」
 そのこと、前から注意もされ、とりあえずTシャツだけはダクロンというのを2枚買い、今日もそれを着ている。他は下ばきもズボンもなにもかも、綿。
《こんなに違うのか!》
 無我夢中で登っていたから全然気づかなかったが、ここで様相がガラリ変わった。歩くごとに、グチュグチュ、ブニュブニュ……。気持ちいいものではない。
「ダクロン買った方がいいわよ! だって来月白馬三山に行くんでしょ!」
 帰ったら早速買うことにした。

 案じた健脚向コースだが、なんとか登りはクリヤーできたようだ。山頂でのこと、下りの思いがけない出来事は、次章とする。

百尋ノ滝を垣間見る
百尋ノ滝を垣間見る
 
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