三輪崎のおばさん、三題 1997年2月の話。 それはさておき、このページは 東浜のおばさん
ぼくは古里三輪崎に来ると、まず大好きな鈴島へ足を運ぶ。 向こうから杖をついたおばさんがやってきて、ぼくに話しかけた。 「あんた、しげるちゃんやないかのお?」 「…………」 「わし、知らへんやろのお。東浜のマサエやでえ。あんた、もういくつになったんなの?」 「??」 「そうかのお。そやけどあんた若いのお。ホンマやでえ。わしゃ、熊野サの恩忘れやせんのやでえ。あの人はいつでもわしら貧乏人の味方やったんやで。ほれ、あんたとこ、むかし酒屋やったやろ。絶対貸し売りしやせんゆいながら、わしらには貸してくれたんや。金できたら、一番に熊野サのとこへ払いに行ったんやの」 「…………」 「あんた、ほんまに熊野サにそっくりやのお」 「!!」 「元気でのお。またおいでよお。熊野サにどうぞよろしゅゆうといておくれのおし」 沖見のおばさん
少し具合が悪くて、病院に居た。 「しげるちゃんやろ。 あんたいつまでも若いのお」 土塀(どべ)のおばさん
「あんた、しげるちゃんは熊野サによう似たあるでえ」 |
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