Part1 2泊3日の旅 Part2 房総白浜界隈 Part3 食事雑感
Part1 2泊3日の旅
房総白浜海岸、向こうに野島埼灯台が見える
  2011年3月11日(金)は、東日本のみならず、国をあげて空前の災厄日として歴史に刻まれることになろう。
 それがまだ終わっていない。というよりも、とくに東北の災厄は厳しく続いている。地震、津波、原発、風評。震度6強の余震がいまにも起こりそうだし、原発事故の収拾はいつになったらどんな形になるのだろう。風評が被災者をさらに痛めつけている。
 ぼくたち浦安市民もそれなりにダメージを受け、不自由した。テレビで被災地・犠牲者の惨状を見るにつけ、自分なりに思いを致し小粒ながら行動をしたが、それで終わりではない。自分にしっくり来ない日々である。
 春にはどこかへ、海外ツアーの案内誌を当たっていた矢先の大地震だった。新浦安地区のマンション11階にあるぼくの家でも、書棚が横倒しになり、テレビや電子レンジが落ちて壊れ、食器・飾り物類が割れて床に散乱した。一瞬にして浮いた気持ちが吹っ飛んだ。
 数日して「自粛の戒め」報道にそうなんだ≠ニ共感し、せめて近場の旅をと思い始めたときに、毎日新聞夕刊の広告に目が止まった。「房総白浜2泊の旅」。
 紀州鉄道系列の温泉宿「房総白浜ホテル」に夕食・朝食付で2泊して、フリータイムを房総最南端の観光にあてる。4月29日出発を問い合わせたら、「お待ちします」だった。
 房総白浜は近くの房総勝浦と並んで、名前だけはよく知っている。ぼくの故郷和歌山県新宮市の西隣が那智勝浦で、さらに西へ熊野灘沿いに1時間ほどJRきのくに線に揺られると南紀白浜。いずれもわがふる里南紀熊野の景勝地と同名だからだ。景色も似ているらしい。今回は房総白浜が目的地だ。
 4月29日は昭和の日、朝9時に出発した。新浦安駅からJR京葉線で蘇我へ。そこで内房線経由の安房鴨川行きに乗り換えて、房総半島南端の千倉駅で降りる。1時過ぎに着いた。
 駅近くの海鮮料理屋でゆっくり昼食し、送迎バスを待つ。近くにこれといった見所はなさそうだ。駅前でぼくがバスを待つことにして、妻はケータイを携えてそこらをぶらぶらした。
 白浜のホテルまで30分ほどだった。温泉に浸かって、夜は地酒少々と地料理……。
 当地観光は実質明くる日の一日だけだ。はかなく期待した地の観光ツアーもホテルあつらえもないから、足はホテル貸し出しの自転車と徒歩のみ。となれば行動半径は野島埼灯台界隈と千倉の道の駅「潮風王国」に限られる。
 天気は良さそうだし、潮の香の新鮮な空気だけでも御利益がある、ということにしたのだった。その観光は次章で詳述する。

 …………
 6両編成の安房鴨川行きは、千葉駅の南、蘇我駅から、まずは東京湾に沿って南下する。姉ヶ崎、袖ヶ浦、木更津、君津、富浦、館山。ここで左へ折れて内陸を近道し、九重の次が外房の千倉駅だ。ぼくたちはここで降り、列車は太平洋沿いを北上して終点の安房鴨川へ向かった。その向こうに勝浦市がある。

 南房総といえば、3年前の秋、富浦に2泊した。ホテルのテニスコートで汗したり、海岸の遊歩道を楽しんだ。
 この地、学生時代にも来た。寮に泊まって、体育の必須講座「遠泳教室」に参加したのだ。心理学の大御所・太田可夫教授が一緒され、ぼくが南紀熊野出身と知るや、ずいぶん親しくしてくれた。
「君、ぼくのゼミに来たまえ」、法外なご託宣。従っていたらどんな人生になったのかなあ。
 先生、若かりし頃、こんなエピソードをもつ。

 (小宮山量平氏は)哲学のベクちゃん(太田可夫先生、当時講師)を敬愛する。太田講師はずっと国立(くにたち)構内の官舎に住まい、次々と子供をもうけた。訪ねると、子供たちが小さい順に、「ド・レ・ミ・ファ・ソ」と現れる。……ということは、その時子供5人だったか。「雑記帳第37話」

 ローカル電車数時間の車中、のどかな海景色に目をやりながら妻と雑談したり、ヘッドホンでぼく自身の英文朗読を聴いたり……。
 数年前から英会話熱に目覚め、シニア英会話教室に通い、雑誌付録の英語CDをiPodにコピーしてヘッドホンで聴いたりしている。
 今年初めにたまたま図書館の書棚に「名演説で学ぶアメリカの歴史」(研究社)を見つけた。CD2枚付だ。借りてパラパラめくっているうちに引き込まれた。とどのつまりが続編の「アメリカの文化と社会」と一緒に購入して、ぼくの英語・英会話学習の教材にしようということになった。
 英文をワープロしては、CDの音声を真似て「英文朗読」を繰り返している。2冊に網羅された全ての演説となると、それぞれが演説の一部分ではあっても相当な量である。やや不自由な左手指にはかなりきつい運動量だが、遅ればせのリハビリにうってつけともいえる。朗読も、誤読・トチリ・舌のつっかえだらけで、何度もやり直しだから、愉快な作業ではない。
 が暇つぶしと思えば、目覚ましい語学向上の助けにならなくとも、苦しさ半分の楽しいひとときだ。
 それでよせばいいのに、古希の年齢(とし)の思い出に加えることにした。この「中高年の元気!」に「名演説で学ぶアメリカ」という新広場を作って、著作権が絡む演説以外を、総計2時間9分のぼくの朗読付で掲載したのだ。
 いい機会だから、この一年にお披露目できたぼくの趣味の延長を、「古希の年」として「小話集第45−2話」とする。

【English】
小話集第45話「房総白浜3日間2011」
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朗読(10:31)  on
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