Part1 Part2
3.寝床寄席
 寝床の落語に進みます。
 私の夜は、6時の夕食にはじまります。いつの頃からか晩酌を続けています。その夜の料理によって日本酒とウィスキーのどちらかに決めるのですが、焼酎のお湯割りにするときもあります。ただし、本当にたしなむ程度ですので。といえば逆に解釈されそうですが。
 7時半にはNHKのニュースも見終わり、ほろ酔い気分で書斎のパソコンに向かいます。メールチェックとかエッセイの直しとか、まれには朗読を聴くとか。
 8時には目も虚ろで寝床へ直行です。
 iPodを枕元のスピーカーにつなぎ、寝床寄席がはじまります。
 iPodにはお察しのとおり、数多くの落語実演が入っています。噺家の人数を数えたら現在46人です。そのうち古今亭志ん生だけで累計216の出し物が入っていますから、全ての噺家のを累計すれば、1千ほどにはなるでしょう。変に自慢めいて恐縮ですが……。
 iPodの中はCD1枚の単位で区分けされています。
 「今夜はどれにしようか」と、iPodの操作を行きつ戻りつして、「NHK落語名人選」の1番を選んだとします。これは志ん生の「黄金餅」と「火焔太鼓」のカップリングで、2話あわせると55分の高座になります。
 このように、どの区分けも1回の単位が1時間くらいです。
 だいたいはその間ににやにやしながら白河夜船になっているという寸法です。
 iPodの電源もそれが終わると同時に切れています。なんという安眠剤でしょう。
 
 寝床で好きな噺家といえば、まずは志ん生です。私独自の好みではありますが、いい大立て者がいて幸せです。
 あとは、可楽、文治、円遊、小さん、柳橋……ですか、次々と思い浮かびますが、出し物にもよるでしょう。
 もちろん他の噺家のも好きなのが結構あります。例えば圓生の「鹿政談」「紫檀楼古木」「相撲話」(阿武松、花筏、稲川)はあきません。彦六の「中村仲蔵」「淀五郎」、米朝の「はてなの茶碗」「地獄八景亡者戯」、三木助の「へっつい幽霊」「宿屋の仇討ち」……。少なくとも私の寝床にあっています。
 怪談や世話物は、どの噺家のも寝床では敬遠しています。本来好みでもありませんし、目がさえてしまったら大変ですから。
 
 「ながら音楽」と同じで、国内外を問わず、落語のためにも旅行にiPodは必携です。旅の宿の貴重な安眠剤ですから。
 この場合は携帯スピーカーもバッグにしのばせます。妻が気の向いたとき聴かせるためです。そのときの出し物は妻の選択を尊重しています。
 
 お薦めの落語? お笑い物、ためになりそうな物、一度はどうぞ物……、ほとばしる気持ちをぐっと抑えて次に進みます。
 ご興味ある方は、「中高年の元気!」の雑記帳第45話「落語の話」Part2をご覧くださいますよう。
4.「中高年の元気!」と朗読
 「中高年の元気!」と名付けたホームページの維持・更新を楽しんでいます。作りはじめて10年はたちますから、あきっぽい私としてはよく続いているものと感心している次第です。いまや生きがいの部類。
 「中高年の元気!」は8つの広場からなっているのですが、いま力を入れているのは「雑記帳」と「小話集」という広場です。エッセイや紀行文が入っています。小説もいくつか。いまも暇さえあれば、何らかの話を書き足そうと努力しています。
 ということで、「中高年の元気!」は、日頃書きためた雑文の重宝な保管庫です。
 「中高年の元気!」は、写真集の保管庫や備忘録としても利用しています。「某日@某所」という広場は、AAネットで私が担当している文化・レクリエーション部会のホームページと同じで、どこかへ出かけたり何かがあったときの写真集です。結構更新しています。
 
 書き物をするときに欠かせないのがクラシック音楽です。リラックス剤であることは申すまでもないですが、同時に、血の巡りにも関係があるのでしょうか、ない知恵を振り絞る助けになっています。
 
 3つの広場、「雑記帳」「山歩き」「小話集」は全て自分の朗読付きです。
 まず、一話がほぼ仕上がった段階で朗読します。内容も含めて文章のチェック……朗読でつっかえる文章はダメだと思っていますので。誤字・脱字や不都合な言い回しの発見にも役に立っています。
 そして最後の録音。
 ぼくの録音道具はサンヨーのボイスレコーダーです。このボイスレコーダー、録音再生は当たり前ですが、録音したMP3<tァイルをそのままホームページに貼り付けることのできる優れものである。
 話のページ全ての末尾に貼り付けています。もし「中高年の元気!」がユニークなホームページであるとすれば、この朗読も一翼を担っていることになるでしょう。見る、読むに加えて、聴くこともできるという意味で。
 ときどき何年も前のを聴くときがありますが、けっこう懐かしいですね。話も声も。
 いずれ私の命日には、親族集まって私を偲び、大笑いしてくれるものと期待しています。
 
 朗読は、精神衛生上もいいのではないでしょうか。
 ただし、疲れるのです。肩がコリこんできます。私の体力では、一日1時間から1時間半がせいぜいといったところです。
 いよいよ最終の朗読ということになりますと、緊張も手伝って失敗を繰り返し、何度もやり直しが入りますから、20分程度を仕上げるのに1時間はかかっているはずです。
 
 時間がありそうですので、最後に朗読のサンプルを披露させてください。
 山歩きの紀行文で、9年前の梅雨時に「尾瀬燧ヶ岳」に登ったときのものです。
 前日の夜は、江東区門前仲町の富岡八幡宮前から、大清水という尾瀬への群馬県側入口まで、夜行バスを利用しました。そのときの模様、題して「快眠コンサート」を一席というわけです。
 クラシック音楽と落語を、エッセイや紀行文の添え物として役立てている一例ということで。ついでに朗読の悪戦苦闘の舞台裏をチラリと覗いていただこうと思いまして。
 (後ほどの)懇親会の料理が傷みやしないかと心配ですが…………
(下の「快眠朗読」の[on]をクリックしてください)。
本文朗読(10'55") on
第40話「そのうち何とかなるだろう」 おわり
〈参考〉
「快眠コンサート」
(「山歩き第20話、Part2」より)
快眠朗読(9'46") on
Part1 Part2

〈メモ〉ぼくがよく聴く落語(未完) 噺家名はぼくの好み
お笑い……湯屋番(円遊)、お見立て(柳橋)、長短(三木助)(小さん)(助六)、干物箱(志ん生)、天狗裁き(米朝)(文珍)(権太楼)、饅頭こわい(志ん生)(米朝)(枝雀)、ふたなり(志ん生)、千早ふる(志ん生)(小さん)、替わり目(志ん生)(円遊)、親子酒(文治)(可楽)、稽古屋(志ん生)(文珍)、強情灸(志ん生)(金馬)、金明竹(圓生)、弥次郎(圓生)(志ん生)(金馬)、六尺棒(志ん生)(談志)、風呂敷(志ん生)、祇園祭(志ん生)、鈴ふり(志ん生)、浮世床(圓生)(文治)(金馬)、夢金(柳橋)(金馬)、四宿の屁(圓生百席)、かんしゃく(文楽)、しの字嫌い(馬の助)、天失気(馬の助)(金馬)、笠碁(馬生)、狸賽(米朝)(小さん)、崇徳院(三木助)(米朝)(枝雀)、長屋の花見(小さん)(米朝)(柳橋)(談志)、反対車(文治)、あくび指南(志ん生)、目黒のさんま(金馬)、時そば(柳橋)、穴泥(彦六)
一度はどうぞ……鹿政談(圓生百席)(米朝)、中村仲蔵(志ん生)(圓生百席)(彦六)、淀五郎(志ん生)(彦六)(圓生)、五人廻し(志ん生)(談志)(彦六)、火事息子(三木助)(圓生)(彦六)、火焔太鼓(志ん生)(文治)、富久(志ん生)(文楽)(可楽)(馬生)、文違い(志ん生)(可楽)、宿屋の富=高津の富(志ん生)(枝雀)(馬生)(文珍)(志ん朝)(松鶴)、水屋の富(志ん生)、お直し(志ん生)(志ん朝)、二番煎じ(可楽)(馬生)(志ん朝)、茶金=はてなの茶碗(志ん生)(米朝)(文珍)、百年目(圓生)(米朝)、居酒屋(金馬)、禁酒番屋(小さん)(文治)、らくだ(可楽)(米朝)(文珍)(志ん朝)、宿屋の仇討(三木助)(米朝)(文珍)、三枚起請(志ん生)(米朝)(志ん朝)、大山詣り=百人坊主(志ん生)(米朝)(志ん朝)(小三治)(談志)、抜け雀(志ん生)(米朝)、芝浜(三木助)(志ん朝)、お神酒徳利(圓生)(小さん)、寝床(文楽)(志ん生)(談志)、稲川(圓生)、源平盛衰記(文治)、黄金餅(志ん生)(談志)、猫の皿(志ん生)、藁人形(志ん生)(今輔)、品川心中(圓生百席)、居残り差平次(志ん生)(圓生百席)(志ん朝)(談志)、文七元結(圓生百席)、三軒長屋(志ん生)、佃祭、二階ぞめき(志ん生)、井戸の茶碗(志ん生)(志ん朝)、小間物屋小四郎(志ん生)、子別れ(志ん生)(圓生百席)、付き馬(志ん生)(可楽)(志ん朝)、たがや(三木助)(志ん生)、岸柳島(可楽)、鰍沢(圓生百席)(志ん生)、へっつい幽霊(三木助)、茶の湯(金馬)、柳田角之進(志ん生)(馬生)、近江八景(米朝)、質屋庫(米朝)(圓生百席)(歌丸)、不動坊(米朝)(枝雀)(文珍)(仁鶴)(権太楼)、愛宕山(米朝)(文楽)、一人酒盛(圓生)(米朝)(枝雀)、味噌蔵(三木助)、妾馬(圓生)(志ん生)、三十石(枝雀)(圓生)(小南)、船徳(文楽)(馬生)(志ん朝)、明烏(文楽)(志ん朝)、厩火事(文楽)、酢豆腐=ちりとてちん(文楽)(小さん)、地獄八景亡者戯(米朝)(文珍)、もう半分(志ん生)(今輔)、唐茄子屋政談(志ん生)(圓生百席)(金馬)、粗忽長屋(志ん生)、大工調べ(志ん生)、搗屋幸兵衛(志ん生)(圓生)(柳橋)(談志)、三味線栗毛(志ん生)、三年目(志ん生)(圓生)(可楽)(志ん朝)、反魂香(可楽)、死神(圓生)(可楽)(金馬)、佐々木政談(圓生)、ガマの油(圓生)(彦六)(金馬)、紫檀楼古木(圓生百席)、野ざらし(円遊)(柳好)、孝行糖(金馬)、薮入り(金馬)、三人旅(金馬)(小さん)、花見の仇討(金馬)、提灯屋(小さん)
怪談、世話物……牡丹灯籠(圓生百席)(志ん生)、お節徳三郎(志ん生)、江島屋騒動(志ん生)、吉原綺談(志ん生)、安中草三牢破り(志ん生)、お初徳兵衛(志ん生)、道連れ小平(志ん生)、塩原太助一代記(志ん生)、御家安とその妹(志ん生)、怪談阿三の森(志ん生)、心中時雨傘(志ん生)、穴釣り三次(志ん生)、名人長二(志ん生)、お若伊之助(志ん朝)、真景累ヶ淵(圓生百席)(歌丸)(彦六)、ちきり伊勢屋(圓生百席)(彦六)、生きている小平次(彦六)、笠と赤い風車(彦六)
再朗読(2023.5.23) 21:17
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