紅葉たけなわの那須塩原温泉、三泊四日の旅。
東京と那須塩原の往復は新幹線指定席で、那須塩原駅からホテルまではバスの送り迎え……というように、のんびりとした気分で旅ははじまらなかった。 |
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十一月二十七日、十時東京駅「日本橋口」集合にあわせて、大幅にゆとりを考え、八時に自宅を出たのだったが。いつもなら、一時間もあれば十分である。
舞浜駅までのバスが渋滞に捕まった。時間帯からいってこれは計算済み。が、JR京葉線の事故までは想定していなかった。
そんなことで、東京駅地下ホーム着九時四十分。気はせくが、何とか滑り込みセーフできる。
間の悪いときってこんなものか。八重洲北改札口を出て、駅構内を案内の地図に従ったつもりだが、途中「工事中」で通行止めがぼくの方向感覚を狂わせた。どこをどう迂回したのか、駅前大通りに出てわけが分からなくなった。時計の針は十時を指している。万事休す。
「どうかなさいましたか?」
通りがかりの人が天の助けだった。地図に目をやって、「ここは全然違いますよ」。焦っているぼくに気づかいながら、簡潔に指示してくれた。
妻ともども息せき切って集合場所の日本橋口に辿り着いたら、時刻は十時十五分。
それでも係の方一人が今か今かと待ってくれていて、「急いでください」。
妻の荷物を抱えるや、機敏に東北新幹線の特別改札口へ速歩で先導する。ぼくたちも必死であとを追う。
発車のベルを聞きながらプラットホームにたどり着き、「MAXやまびこ207号」に飛び乗ったのだった。 |
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「紀州鉄道・那須塩原ホテル」は、箒(ほうき)川のほとりにあって、六階建て、客室百はある。塩原地区に属する。
ぼくたちは五階のツイン洋室に案内された。見晴らしがよい。 |
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十二時三十分。さて。
軽い昼食のあとは箒川沿いを散策するか。あとは温泉三昧としよう。
そんなこんなで、やっと人心地ついて塩原温泉滞在四日間のスタートとなった。 |
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温泉は百l源泉といい、湯船は広々としている。露天風呂、サウナ付きは言うまでもない。
三度の朝食は和洋食のバイキングで、三度の夕食は毎夜地の山菜で工夫が凝らされていた。
それで費用は? ツアー参加者二十三名の満足度はそれぞれであろうが、ぼくたち夫婦は、帰る道々「よかったね」と肯きあった。
周辺の景色や見どころは、「某日@某所 2006」に写真集をどっさり載せてある。 |
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この旅行は二ヶ月前に計画した。海外旅行はもとより、国内旅行でも、旅行社のスケジュールに従って慌ただしく動く旅は、いまの体調が許さない。かといって、旅の喜びを簡単には手放したくない。
単身の旅行は絶えて久しい。今回は二つの意味で、妻を説得した。
大腸ガンの手術後半年経過して、巣ごもりを卒業したい。その意味で次のステップへのウォーミングアップがその一。
その二は、昨年十二月の「ベトナム・カンボジア」以来、旅そのものに飢えていた。どこでもいいからどこかへ行きたい。
妻は解しがたいようだったが、「格安」に魅力を感じたか、反対はしなかった。 |
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Part1朗読(07'06") on |