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嬬恋村
つかの間の晴れ間に十五夜お月さん
三日目
 予報通り雨の一日になった。
 ホテル発10時のバスに乗って、40分後には軽井沢駅着。近くの八百屋でリンゴを物色。試食に満足し、箱入りを親戚と自宅へ宅配した。
 目的の一つを果たし、あとはプリンス・ショッピングプラザでショッピング。テニスシューズを目当てに、まずはスポーツ店を巡る。
 ブランド品のアウトレットということで、期待したのだがダメだった。甲高・幅広がこうも障害になるものか。やっと甲高クリヤーと思いきや、幅が窮屈すぎる。長さを一ランクあげると、指先が空間を泳いでいる。「ぼくの足はそんなにいびつなのかなあ」と慨嘆しつつ、山積みされたシューズを恨めしく眺めたのだった。
 妻も気に入ったのがなかったらしく、スポーツ店はウインドーショッピングで終えて、信州蕎麦の昼食。
 午後はあてもなくぶらりぶらり。イースト、ニューイースト、ウエスト、ニューウエストと、歩き回った。有名店がアウトレットとして、銘柄品を展示してあるのだから、意にかなったのがあれば多分お買い得ということになるのだろう。妻もぼくもテニスシューズ以外に特別の興味はなかったから、結局、土産にくるみ菓子の軽井沢タルトを買っただけだった。有名店のブランド品で目の保養はたっぷりしたが、その分人並み以上にくたびれた。
 どしゃ降りさなか、3時過ぎのバスで帰途についた。
ショッピングプラザ隣接のゴルフ場
 夕食はしゃぶしゃぶのバイキングだ。最近は「バイキング」と聞いただけで損した気持ちになる。やはり案じたとおり、お代わりできなかった。牛肉半分、豚肉半分のしゃぶしゃぶはそれなりに美味しかった。酒は今夜もビール中ビン1本で十分だった。

 この日朝湯を終えて、脱衣場でくつろいでいた。
 地の人らしいホテル従業員がにこやかにあいさつしてきたので、ちょっと訊いてみた。出発前に読んだ観光2誌の内容の違いについてだ。
ぼく:「このホテルは『グリーンプラザ軽井沢』ですが、北軽井沢になるのですか? 奥軽井沢ですか?」
彼:「いいえ、ここは嬬恋(つまごい)村です。群馬県嬬恋村大前細原です。軽井沢はずっと南にあたります」
ぼく:「…………」
彼:「バスで来られたのでしょ? 鬼押出しの手前に『峰の茶屋』という料金所がありましたよね。そこが長野県との県境で、軽井沢町と嬬恋村との境界でもあります」
ぼく:「やはり観光的には『軽井沢』の名をくっつけた方がいいのでしょうね」
彼:「そうなのでしょうね、『嬬恋』よりは。キャベツ日本一の嬬恋村なんですが……」
「この温泉(あさまの湯)は6年前にできたのですが、なぜわざわざ地下に造ったのですかねえ。5階建てメイン館の屋上に造っていたら、浅間山の姿を目の前にできたのに。素晴らしい眺めなんですよ」
 彼、本気で残念がっていた。
 今更の感はあるが、『軽井沢』とは、群馬との県境に位置する長野県軽井沢町だと誤解していた。
 いつの間にやらこの辺り一帯をそう呼ぶようになったらしく、観光雑誌で謳う『北軽井沢』の鬼押出しや浅間火山記念館、おもちゃ王国は、群馬県嬬恋村に属し、草津温泉の入り口に当たる長野原町や、その西、万座温泉付近も、いわゆる『軽井沢』にはいるようだ。『丘を越えて』のモデルになったという浅間牧場はたしかに『北軽井沢』、群馬県長野原町大字北軽井沢が所在地である。
 (嬬恋村観光商工課の情報を参考させていただいた)。
朗読(6:07) on
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