成人の日に明海大学(浦安市)で餅つき大会があった(2004年1月12日)。明海クラブ主催、会員との新春親睦会である。
 申し分のない晴天にして、昨日吹き荒れた木枯らしも和らいでいる。まこと長閑(のどか)な餅つき日和。500人を超える中高年が集(つど)った。

 正午から、"搗(つ)いた杵餅40キロ"。
 キャンパス特設広場にテントが張られ、その前に木臼が2台並ぶ。杵が大小あわせて6、7丁。
 蒸し器から餅(もち)米が蒸篭(せいろ)で運ばれて、湯気もろとも臼(うす)へ。明海クラブの若い男女スタッフが渾身込めて捏(こ)ね、搗(つ)く。どんどん搗く。捏ねる手際もいい。搗き音がリズミカルにこだまする。臼から湯気が立ち上り、拡散して、いやがうえにも食欲をかき立てる。
 もう「餅」に長い行列ができている。隣り、「清酒」「甘酒」「トン汁」コーナーで、振舞いがはじまる。行列はゆれる。トン汁をすすりながら「餅」の行列へ急ぐすばやい会員もいる。

 そう、「餅」は出来立てまで10分はかかる。2台の臼はフル回転。長蛇の列をいかにさばくか、若いスタッフの奮闘が続く。
 「餅」は女性スタッフによって、「あんこ・きなこ・あべかわ」の三色盛(もり)で振舞われる。子供の頃以来とんと覚えのない、あの"あつあつ、ほっかほか"だ。味? 訊くまでもない。

 ぼくは都合3皿いただいた。もちろんトン汁、清酒、甘酒も。プラス、ジャガイモ1皿。テニス仲間の情報では、酒3杯以上が何人か、トン汁はなくなるまでお代わりが何名も。「餅」は3皿以上がほとんど。

 臼(うす)から立ち上(のぼ)る湯気、老若男女のさも満足げな顔々。
 今日の穏やかな天気と若き明海クラブ・スタッフに感謝。2時過ぎて、風呂場へ急いだ。
 (この風呂がぼくのお気に入りだ。浴槽は10人がいちどきに入れる。シャワーが5つ。それにサウナ。週2回は入浴を楽しんでいる)。

 …………
 午前中は10時からサンデーテニスの仲間とテニスに興じていた。いつもは午後だが、今日は杵餅に備えて午前中とした。
 やはり冬。寒空にご苦労なこと、といわれそうだが、無風の穏やかなテニス日和に恵まれた。ミスはすべてわが過ちと認めざるを得ない日であった。

 テニスは、はじめて2年半たつ。ちょうど「12月クラブ」のホームページ制作に忙殺されていたあの頃からだから、よく覚えている。
 夢中にやってきたにしては上達ははかばかしくない。身の程わきまえず目標が高すぎたのか。明海クラブのスクールでは「初中級」のクラスだ。それも12人中12番だから、当分このクラスの主(ぬし)を続けるだろう。
 それは認めるとして、いまだ妻の後塵を拝しているのは屈辱であり、内心忸怩(じくじ)たる思いである。本年の決意はもちろん「家内に追いつき追い越す」。密かに期している。

 明海クラブには昨年4月から通っている。上述のとおり、スクールとサンデーテニスだ。そのうち水泳も加える予定。
 汗をかいたあとはクラブ自慢の風呂。本当、広くて快適だ。サウナも、毎回6分間世話になっている。

 週1回のスクールは、Kコーチご指導のもとで、頑張っている。
 Kコーチは若い、30手前のはずだ。やや小柄なるも、筋骨のたくましさがカバーして余りある。朗らか、さわやか。ホープさんである。
 指導力はさすが。受講者の速やかな上達が証明している。だから一人あせっている。
 この11月に東欧旅行で2回休んだ。行く前にその旨話したら、
「東欧ですか。いいなあ。コンサート楽しんできてください」
 即座にこのエール。わが意を得た。
 気をよくして、紀行文を仕上げてすぐ、A4x55枚の大部を押し付けた。よせばいいのに、「正月休みにでもどうぞ」と。ぼくはこういうお調子乗りの嫌みな癖がある。
 正月はそれどころでなかったようだ。彼の実家は"人形の町"岩槻市で、お寿司屋さんを営んでいる。彼、出前やなにやらのお手伝いで、家族団らんどころでなかったそうな。(戸籍尋問はこのくらいで終り。)

 無風のおまけは別として、本日の晴天は暮れもだいぶん前からの続きである。感謝ですまされるのか、火災指数やインフルエンザを考えれば、複雑な気持になる。かといって氷雨や木枯らしに身震いしながらでは、新春餅つきにもならなかっただろうし。
 申し合わせたように夜、雨になった。天も粋(いき)な計らいだ。

 
小話集第25話「正月餅つき大会」 おわり
朗読(07:49) on
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